優等生だらけのいまでも「乗り手」を選ぶ「クセモノ」! 恋人になれればドハマリする「人見知り」系クルマ5選 (1/2ページ)

てなずけるとドライブが楽しくなる! 魅惑のクルマが大集合

ひと昔前と比べると、今はどのクルマも完成度が高く、誰がどこでどんな風に乗っても、簡単に快適に乗れるように進化しています。それはとても素晴らしいことなのですが、ちょっと寂しいと感じるのも正直なところ。”一見さんお断り”じゃないですが、何度も練習してようやくスムースに乗りこなせるようになるクルマや、クセが強くて初めての人はビックリしてしまうクルマこそ、オーナーの満足度は右肩上がりになり、面白さが長続きし、乗れば乗るほどそのクルマと自分が一体になれるような感動がある、とも言えるからです。

 ただ、今でも少数派ながら、探せば見つかるのです。初めて乗ると驚いてしまう、乗り手を選ぶようなちょっと人見知りなクルマたち。さっそくご紹介したいと思います。

1)スズキ・アルトワークス

1台目は、日本が誇るスーパーライトウェイトコンパクトスポーツ、スズキ・アルトワークス。80年代~90年代の全日本ラリー選手権で大暴れし、軽自動車初のシリーズチャンピン獲得をはじめ、通算10回もトップの座に君臨した輝かしい経歴の持ち主です

2015年末、約15年ぶりに復活したのが現行モデルのアルトワークス。現代では驚異的な670kgという超軽量ボディに、特別にチューニングされた最大トルク100N・mのエンジン。ミッションには5速MTAGS(オートギアシフト)が設定されました。15インチタイヤにKYB製ショックを奢った足まわりは、チラリと見える真っ赤なブレーキキャリパーがやる気満々といった雰囲気です。

このアルトワークスを、「とはいえ、軽でしょ?」なんて舐めてかかったら、もう大変な目にあうのでご用心。なんたって、シフトを1速に入れてアクセルを踏み込むと同時にクラッチを繋いだその瞬間、ドンッと背中を蹴飛ばされたみたいなロケット加速! しかも一瞬で吹け上がり、2速、3速と矢継ぎ早にシフトアップを強要され、目が回るような忙しさ。カーブでも鼻先が予想以上に軽く向きを変え、ボディも瞬時についていくから、ハンドリングだって気を抜けない修羅場に。

近年の制御だらけのラクなMTに慣れきった人は、自分の腕がどれほど錆びついてしまったかを思い知らされるかもしれないですよ。

2)フィアット500

2台目は、同じコンパクトでもイタリア生まれのおしゃれなフィアット500

見た目がとっても可愛いので、ついつい運転だって誰にでもフレンドリーかと思いがちですが、ところがどっこい。日本車のゴムみたいに伸びるCVTに甘やかされた人たちは、初めて500に乗ると「壊れてる?」と不安になるほど、まったくスムースに乗れないことがあるほどです。日本では通称2ペダルMTとかクラッチレスMTなんて言われていますが、マニュアル車の感覚を残したまま、アクセルとブレーキだけで運転できるようにしたのが、デュアロジックという500のトランスミッション。

ATモードもありますが、基本はちゃんとエンジンの音を聞きながら、回転数に合わせて手元のシフトレバーを1、2、3、4、5と上げたり下げたりして走るようになっているのです。操作の際には、ちょこっとアクセルペダルをオフにするのが、よりスムースに走らせるコツ。これを知らずに、アクセルをベタ踏みのままシフト操作をすると、アクセルを踏んでいるのに前に進まず、ガックンとショックを受けるような乗り味になります。まさに、マニュアル車の運転がヘタな人と同じ感じです。

エンジンがわずか2気筒のツインエアだというのも、よりクセを強くしているようですね。でも、これをだんだんと上手になめらかに走らせることができるようになると、もう楽しくて仕方がないんです。ほかのミッションじゃ物足りなくなるほどだそうですよ。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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