優等生だらけのいまでも「乗り手」を選ぶ「クセモノ」! 恋人になれればドハマリする「人見知り」系クルマ5選 (2/2ページ)

めったに存在しないRRレイアウトの乗り味に驚く可能性も

3)BMW i3

3台目は、完全なピュアEVと、発電用のエンジンを搭載するレンジエクステンダーが選べるBMW i3。大福餅みたいなフォルムや、観音開きのドア、自然由来の素材を多用したインテリアなど、いろいろと個性的なポイントが多い、BMWの意欲作でもありますね。

知らない人は「EVってつまらないでしょ」などと思いがちですが、じつはこれがかなり乗り手を選ぶクルマでもあるのです。その大きな理由は、まず駆動方式がRRであること。前後軸の間のフロア下に重いバッテリーを敷き詰めており、低重心ではあるものの、モーターが車体後方に搭載されて後輪を駆動するので、ポルシェとまではいわなくてもフロントが浮き上がりそうに軽く、リヤがどっしりと路面を蹴って進むような感覚は、慣れない人だととくに高速道路などで驚いてしまうかもしれません。

また、アクセルペダルをオフするだけで、ブレーキ並みの強い減速力が得られるので、はじめのうちは思い通りの場所でなかなか停車できない人も。赤信号の時に、停止線よりだいぶ手前で止まってしまい、アクセルを踏み足していた人もいたほどでした。

そして、世界でひとつしかない、大径なのに自転車並みに細いタイヤ。これも独特の乗り味を作っている要因でしょう。見た目から運転まで、すべてが独創的なi3なのでした。

4)ルノー・トゥインゴ

4台目は、フランス生まれのコンパクトモデル、ルノー・トゥインゴ。今回ご紹介する中ではクセは弱めかもしれませんが、ただ可愛いだけのコンパクトカーではないこともたしかです。

というのは、わかる人はまずこの見た目からも、「おお?」と感じ取るのですが、リヤフェンダーが張り出したフォルムや、ストンと落ちるようなショルダーライン。これはまさに、往年の名車であるルノー・サンクへのオマージュ的モチーフです。そして、0.9リッター直3ターボエンジンを荷室下に搭載したRRレイアウト。2ペダルMTとなる6速EDCで操れば、元気いっぱいにグイングインと弾むように駆け出していくのです。

慣れない人が注意したいのは、カーブや交差点を曲がるとき。思った以上にグワッとハンドルが切れて、大きく曲がってしまうかもしれません。トゥインゴの前輪の切れ角は、なんと49度もあって、最小回転半径は軽自動車並みかそれ以下の4.3mという、スーパー小まわり性能マシンなのです。くるくると面白いように曲がるトゥインゴは、乗れば乗るほど大親友になれそうな1台です。

5)ロータス・エキシージ

5台目は、クセ者揃いのスポーツカーの中にあっても、とくにクセ強めのロータス・エキシージ。2021年中の生産終了がアナウンスされてしまいましたが、日本ではそのファイナルエディションのうち、エキシージ スポーツ390ファイナルエディションと、スポーツ420ファイナルエディションが導入されています。

390でもベースとなる350よりパワーアップされていて、最高速は277km/h0-100km/h加速は3.8秒という凄さ。3.5リッターV6スーパーチャージャーをミッドシップに横置きするMR、というだけでもかなり運転が難しそうなことがわかると思いますが、エキシージはそこらへんの制御満載のヤワなスポーツカーとは違って、ハンドルは激オモ、ペダルだって全力で踏まないとクラッチ切れません、ブレーキ利きません。

普段、運動不足の人が軽い気持ちで乗ったりしたら、ふくらはぎはツるわ、腕は筋肉痛になるわ、立派な筋トレなのだと悟るはず。こんなにスパルタンなスポーツカーは、今後出てこないかもしれないですよね。乗るなら、今です。

というわけで、最初は「なんだこれ」と驚き、壊れてるのかと懐疑的になったり、拒絶反応を示してしまったり、体力的にムリだと思ってしまうクルマたち。でも、その1回であきらめるのは早計です。くじけず、少しずつ距離を縮めていった先には、ほかのどんなクルマでも味わえない、楽しく満たされる世界が待っているはず。ちょっと人見知りなだけで、じつは懐の深い、独特の愛嬌を持ったクルマたちばかりです。単なる道具として終わらないクルマに乗ってみたい人にはぴったりなので、勇気を持って近づき、粘り強く仲良くなってみてくださいね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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