【試乗】海辺や古都に映える! 大人のドライブを一歩上ゆく旅路にするキックスAUTECHの魅力とは (2/2ページ)

専用シートによりクルマとの一体感が高まる

 ここで、まず目指したのは石川県の千里浜なぎさドライブウェイだ。ご存じの方も多いだろう。クルマで走行することのできる日本唯一の砂浜だが、個人的には久々に訪れた。波打ち際をクルマが走る姿を見るのは、とても新鮮。海のそばが案外しっくり来る辺りは、さすが「海」と「空」のイメージから想起したブルーをブランドのアイコニックカラーとするAUTECHというところだろうか。

 その後はほぼ海に沿って、能登半島を北上していく。舗装の良い道ばかりではないけれど、キックスAUTECHは走らせやすいだけでなく、乗り心地も適度にカドが取れていて、いい感じだ。この時、じつは「キックス、こんなに上質な乗り味だったっけ?」とすら思っていたほどである。

 実際のところキックスAUTECH、ハードウェアはキックスと共通で、サスペンションやタイヤには手は入れられていない。それでも気分がアガるのは、ひとつには上質に仕立てられたインテリアのおかげだろう。

 ステアリングホイールは本革巻きで、ブルーのステッチ入り。ダッシュボードに貼られたソフトパッドも、やはりブルーのステッチがアクセントとなっている。また、ステアリングのリム下側、ドアトリムなどにもブルーがあしらわれていて、良い雰囲気をうまく演出している。

 そして何よりシートが良い。専用のブルーとブラックでまとめられたレザレットの表皮はしっとりとしたタッチで、いかにも上質。オーテックジャパンのある湘南の海がモチーフという波目の模様が入れられたクッションは当たりが柔らかく、こなれたレザーのように身体を包み込む。

 おそらくはこのシートが、雰囲気だけでなく、実際に質の高いこの乗り心地に大いに貢献しているのだろう。普段使いでももちろんだが、長距離ドライブの伴侶として見た時には尚のこと、これは嬉しい。

 途中、トトロ岩という通称で知られる剱地権現岩や、ギネスにも載った世界一長いベンチなどに立ち寄りつつ、夕方には目的地に定めていた輪島市に入り、旅の初日は終了となった。まったく疲れを感じていなかったのは、間違いなく走りの楽しさゆえのことである。

 翌朝は早起きして、まずはホテル近くの輪島朝市へ。商店街には有名な蟹をはじめとする海産物や、輪島塗などの工芸民芸品を取扱う露店が立ち並ぶなか、しばし散策する。そうして目が覚め頭がシャキッとしたところで、いよいよキックスAUTECHに乗り込み、向かったのは珠洲市にあるcafe cove。能登半島最北端の海の目の前にあるこのカフェ、じつは以前から興味があって、携帯電話にブックマークしてあったのだ。

 ホテルからは海沿いを走る国道29号線にほぼ沿ってひたすら東に進んでいく。途中には絶景の白米千枚田も。この辺りは景色が良いだけじゃなく、適度にコーナーが続いているので走っていて楽しい。キックスAUTECHの手触りの良い本革巻きステアリング、そして吸い付くように身体を支える専用シートは、こんな時にクルマとの一体感を一層高めてくれる。

 おかげで1時間ほどの道のりは、まさにあっという間だった。到着したcafe coveでコーヒーをオーダーして、海を見ながらいただく。視界の隅には、やはり海の近くで生まれて、伝統やプライドの込められたブルーのアクセントが散りばめられたキックスAUTECH。いわゆる“映え”を狙ったつもりはなかったけれど、どうやら旅を少し上質で、気分のアガるものにしてくれる効果が、このクルマにはあるようだ。

 まさにプレミアムスポーティ。さまざまなクルマで経験を積んできた人ほど、きっとこのキックスAUTECH、ときめく1台に違いない。


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