数字は小さいほうがいいけれど「空気抵抗」はそれだけじゃない! 最近新型車で強調される「Cd値」ってそもそも何? (1/2ページ)

Cd値とはいかに抵抗なく空気を流す形状かを示したもの

 クルマの空力特性を表す「Cd値」という言葉がある。自動車誌やカタログなどで目にする機会も多くあることだろう。「数値が小さいほど優れた空力特性」と一般に理解されているCd値について、クルマの空力特性全般から振り返ってみることにした。

 そもそも、Cdとは何の略か、ということになるが、これはDrag coefficientのことで、日本語に訳すと「抗力係数」となる。これを略して「係数:抗力」と表記したものがCdで、同じような略表記は「揚力係数」を表すClLift confficient)などがある。

 さて、自動車に関わる空力特性だが、走行中の自動車に働く力は、前後方向、上下方向、左右方向の3つの力とそれによって生じる3つの回転力(モーメント=ヨー/ピッチ/ロールの3方向)、計6つの力がある。これら6つの力を総称して「空力6分力」と名付けているが、Cd値は車両の前後方向(厳密に言えば進行方向)に発生する抗力、空気抵抗係数を表したものである。

 自動車と空気抵抗の関係は、じつは思ったより古い時代から着目され、ドイツのアウトバーン(ヒトラー政権下で具体化、1930年代前半)が作られた段階で、高速走行時に空気が進行の妨げになると指摘されていた。このため、空気をスムースにかき分ける流線形(ストリームライナー)が、空気抵抗を小さくする形状として考え出されることになる。

 日本でCd値が注目され始めたのは、1980年代に入って車輌の高性能化が図られた時点で、自動車メーカーはこぞってCd値の小さなデザインが時代のトレンドという訴求のしかたを見せていた。Cd値自体は、簡単にいってしまえば、いかに抵抗なく空気を流す形状かを示したもので、ボディ表面の凹凸が少ないほど空気の流れはスムースになる、すなわちCd値は小さくなるという関係にあった。いま振り返ればおもしろくもあるのだが、小さなCd値でまとめられた車両が、いかにも高性能車という印象を与えていた。


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