いま誰もがクルマに乗れるのは「偉大すぎる」先駆車のおかげ! 世界に名を轟かせた「大衆車」4台 (2/2ページ)

ニッポンの偉大すぎる2台

3)スバル360

 さて、フォルクスワーゲン・タイプ1といえば、日本ではSUBARU360がスタイリングでの類似性を指摘されることが多い。そんなSUBARU360は、360cc規格の軽自動車として1958年に誕生、1970年の生産終了まで累計39万台も生産されている。まさしく日本における国民車のハシリといえる存在だ。

 SUBARU360は独自のメカニズムを持っていたことでも知られている。空冷2サイクル2気筒エンジンをリアに搭載するRRというレイアウトは、ビートルとの類似性を感じさせる部分ではあるが、そのボディはモノコック構造となったいたのだ。丸っこいボディは軽量化とスペース効率を実現するためで、RRレイアウトも居住スペース外にパワートレインを置くためのロジカルな選択であった。

 SUBARU360以前の軽自動車は、実質的には大人2名が乗れる小さなビジネス用途のクルマというイメージが強かったが、SUBARU360の登場により軽自動車は大人4名が乗れるファミリーカーとして使えるという風に社会認識が変わっていったのだ。まさに日本にマイカー文化を根付かせたモデルといえる。

 現在ではダイハツからのOEMとして軽自動車を用意するSUBARUだが、そのルーツは軽自動車にあった。そして、SUBARU360のヒットがあったからこそ、現在のブランドにつながっているのである。

4)トヨタ・カローラ

 日本の国民車といえば、現在では軽自動車のホンダ「N-BOX」になるのか、それともトヨタのコンパクトカー「ヤリス」がふさわしいのか議論になるだろうが、ながらく日本でもっとも売れているクルマだったのがトヨタ「カローラ」である。

 1966年に誕生した初代カローラはライバルを凌ぐ1.1リッターの4気筒エンジンをフロントの縦置きしたFR。当時主流であったコラムシフトをあえて採用せず、4速のフロアMTを採用していたことも走りのイメージを強めることになった。そうして日本で好スタートを切ったカローラは、ホンダ・フィットがデビューするまで33年間にわたって日本でもっとも売れているクルマとして圧倒的な存在感を示し続けた。

 そうした人気モデル、カローラは徐々に世界へ展開していく。カローラという名前のもとにバリエーションを増やし、モデルチェンジを繰り返してきた。数え方にもよるが現在のカローラは12代目となる。その中にはカローラ・レビン(AE86)のように多くのドライバーを育てることになったスポーティモデルも存在していた。

 いずれにしても大衆車としての理想を追いかけるという開発姿勢は世界でも評価されることになる。結果としてグローバルでの累計生産台数は5000万台を超え、同一名称の自動車としては世界でもっとも売れたモデルとなっている。まさに世界の国民車なのである。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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