「ユーザーの要望だから」って本気? アメ車がスーパースポーツでもOHVエンジンを採用する「単純明快」な理由 (2/2ページ)

NASCAR参戦用にかのトヨタもOHVエンジンを開発

 アメリカではフルサイズSUVやフルサイズピックアップトラック、またはアメリカンスポーツカーは「OHVが当たり前」という風潮が未だに続いている。

 筆者がアメリカで「OHVがあたり前」という、大型アメ車の論理を強く印象づけらえたのが2003年だった。トヨタがアメリカで人気が高いNASCARに、2004年のトラックシリーズから参戦が確定した際、エンジンを設計開発するトヨタ本社の技術者と、アメリカ現地でエンジン開発とメインテナンスを行うTRD USAの幹部らと意見交換した際のことだ。

 当時のトヨタは、インディカーとF1の高性能レーシングエンジンを開発・製造しており、多くのメディアが「トヨタがレース用だけにOHVを作るのか?」という疑問を持っていた。

 それに対してトヨタ側は「郷に入っては郷に従え」という点を強調した上で、NASCAR向けの超高回転型OHV開発の難しさを指摘していた。トヨタがNASCAR参戦の意義としては重要視していたいのは、トヨタとして「アメリカ市民になること」だった。

 さて、話を現在の2021年に戻すと、バイデン大統領は8月上旬、「2030年までにアメリカ国内で販売する新車の50%をEV/FCV/PHEV等の電動車とする」という大統領令に署名した。こうした電動化シフトの中で、OHVも姿を消すことになるのだろうか? それとも、「アメリカはOHVが当たり前」という伝統を重んじて、マイルドハイブリッド化やプラグインハイブリッド化での延命期を長く保つことになるのだろうか?


桃田健史 MOMOTA KENJI

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