誤発進も踏み間違いもないから「MTのほうが安全」は過去の話? 先進安全装備の違いからみるAT車の優位性 (1/2ページ)

ATが危ないはもうとっくに時代遅れ? それともMTのが安全?

 なんだか、MT車の未来が暗そうな気配の今日この頃。電動車ばかりになると、MT車の存在が脅かされるわけで……。とは言っても、現時点ではまだまだMT車のファンも多く、同じ車種でAT(CVTや2ペダルMTのDSGなどを含む)とMTを用意している車種、新型車も少なくない。では、安全装備、先進運転支援機能については、両車の違いはあるのだろうか。

 ひとつ言えることは、基本的な安全装備(安全ボディ、エアバッグ、ABS、横滑り防止装置など)については、変わるところがない、ということだ。ただし……。

 たとえば、トヨタ86、スバルBRZ。初代モデルでは、予防安全装備としてVSCやABSなどの基本的な走行安全装置は付いているものの、ADAS(Advanced Driver Assistance System)と呼ばれる先進運転支援機能は未搭載だった。トヨタで言えばトヨタセーフティセンス、スバルならアイサイトといった、緊急自動ブレーキやACC(アダプティブクルーズコントロール)、レーンキープ機能などが採用されていないのである。

 しかし、これから発売される両新型には、先進運転支援機能が装備され、すなわち、BRZならアイサイト(ACC、レーンキープアシスト機能など)がついに用意されるのである。が、現時点で判明しているのは、それはAT車のみということ。

 では、一例として、MT車に緊急自動ブレーキなどが採用されにくいのはなぜか? その答えは簡単、自動ブレーキを働かせること(誤発進抑制機能も)は可能なのだが、停止まで持っていくと、ATと違い、クラッチ操作が必要になり、そのままではエンストを引き起こすからである。ただ、近々、緊急自動ブレーキの装着が義務付けられるため、自動車メーカーはMT車を存続させるなら、対応は急務と言える。スバルのアイサイトのACC(アダプティブクルーズコントロール)は停止保持機能がセットとなるため、停止する直前にクラッチ操作をする必要があるMTには組み込むことが難しいと言われていたりする。

 とはいえ、MT車に緊急自動ブレーキを付けているクルマも増えている。たとえばATに加えMTを積極的に用意するマツダ車。マツダ3の例では、MT車でもスマートブレーキサポート(前方検知機能/後方検知機能、後退時左右接近物検知機能)のほか、レーンキープアシストシステムまで付いている。ゆえに、MT車だから安全装備がいきなりプアになるということはない。ただ、誤発進抑制装置、ACCに相当するマツダレーダークルーズコントロールの全車速追従機能(渋滞追従機能)は、AT車に限られる。

 ホンダの軽自動車のN-ONEのMT車にも、ホンダセンシングがフル搭載されている。なんと軽自動車にして、その内容は10項目にも及ぶのだ。

①衝突軽減ブレーキ
②誤発進抑制機能※
③歩行者事故低減ステアリング
④先行車発進お知らせ機能
⑤標識認識機能
⑥路外逸脱抑制機能
⑦渋滞追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)※
⑧LKAS(車線維持支援システム)
⑨後方誤発進抑制機能※
⑩オートハイビーム

 と、ばっちりである。軽自動車のMT車にACC(アダプティブクルーズコントロール)と車線維持システムを搭載したのは、現行N-ONEが初めてらしい。もっとも、マツダ3同様、誤発進抑制機能、後方誤発進抑制機能、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の渋滞追従機能は、N-ONEの機能説明の「※」印が示すように、AT車のみの設定となる。ACC(アダプティブクルーズコントロール)の場合、ATならペダル操作不要で減速→停止→停止保持→再発進まで自動で行ってくれる便利さに感動できるのだが、MTでは、停止直前、渋滞時の追従機能、停止保持機能、そこからの再発進にクラッチ操作が不可欠になるから搭載が困難なのである。

 また、車線に沿った安全な運転を行ってくれるレーンキープ機能(車線の中央を走るようにステアリング操作をアシストしてくれる機能)については、MTでもコンピュータがドライバーのクラッチ、シフト操作にあわせて、最適なエンジン回転数になるように制御する、新規開発のマニュアルトランスミッション= iMTを採用するトヨタのカローラシリーズであっても、AT車のみの搭載だ。iMTモデルは車線をはみ出しそうになると警告を発するレーンデパーチャーアラート機能にとどまる。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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