誤発進も踏み間違いもないから「MTのほうが安全」は過去の話? 先進安全装備の違いからみるAT車の優位性 (2/2ページ)

MTにはクラッチ操作が必要が故に対応できない機能も

 高速走行時のドライバーのストレスを劇的に低減してくれるACC(アダプティブクルーズコントロール)については、マツダのMT車の場合、N-ONE同様、渋滞追従機能、停止保持機能なし。AT車であれば0km/hから対応してくれるのに対して、MT車では約30km/hからの対応となってしまう(理由は上記)。もっとも、ちょっと前にデビューしたクルマのACC(アダプティブクルーズコントロール)が、ATでも約30~125km/hといった速度域でしか機能しないクルマもあるので、まぁ、クルージング専用と割り切れば、それはそれで使えるはずだ。

 トヨタ・ヤリスの場合は、全グレードにトヨタセーフティセンスが搭載されていて、MT車でもブレーキ制御付きレーダークルーズコントロール、レーントレーシングアシストを用意。トルキーなエンジンゆえ、クルージング中ならシフトを多少さぼっても加減速に柔軟に対応してくれるため、レーダークルーズコントロール=ACCの有難みの一部を享受することができるだろう(ただし、全車速追従機能付きではない)。

 よって、先進運転支援機能の充実度では、現時点ではAT車が優位。繰り返すけれど、基本的な安全性能でATとMT車の差などあるはずもないのだが、とくに緊急自動ブレーキ、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の渋滞追従機能、停止保持機能(こちらは電車パーキングブレーキとセットだから、AT車でも付いていないクルマもあり)、レーンキープ機能などで、そもそもラクチンに運転できるAT車のラクチン度も増し、軍配が上がるケースが多いと言えそうなのである。いずれにしても、先進運転支援機能については、同じMT車でもメーカー、車種によって搭載機能が異なるため、じっくりと検証、あるいは比較するべきだろう。

 とはいえ、MT車でもACC(アダプティブクルーズコントロール)の渋滞追従機能や停止保持機能がぜひとも欲しい……というなら、こんな案がある。シフト、クラッチ操作そのものより、MT車ならではのダイレクト感ある走りがあれば満足であれば、フォルクスワーゲンのDSGモデルのような、2ペダルのMT車に乗ることだ。

 シフト&クラッチ操作は不要になってしまうのだが、基本、ミッションはMTだから、ダイレクト感ある加速感(パドルシフトも用意)、ちょっと前のDSGならMT車につきものの変速時のショック、ギクシャク感まで味わえたりする!? から、MT車感覚と、AT車とまったく同じ緊急自動ブレーキ、渋滞追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)、停止保持=オートブレーキホールド機能、さらにレーンキープ機能などを含む、フル装備の先進運転支援機能の両方を手に入れることができる……と考えられなくもない。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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