ハンドリングとトラクションを稼ぐFFの秘密兵器! トヨタの「スーパーストラット」はなぜ消えた? (2/2ページ)

メリットをデメリットが上まわり消えてしまった

 AE101、AE111レビン・トレノをはじめ、ST200系セリカやカリーナED、コロナEXiVなどにも採用され、AE111レビン・トレノのコーナーのボトムスピードの高さはかなりなものだった。とくにアクセルオンでのアンダーステアの少なさは、当時のFFスポーツの中でも抜きん出ているほどだった。

 しかし、通常のマクファーソンストラットよりも、ダンパーのロッドがかなり短く、キャンバーコントロールアームの長さとの兼ね合いで、サスペンションストロークが短くなるという欠点が……。構造上、サスストロークが短いために、どうしてもバネレートは高くなり、乗り心地は硬めだった。

 また、ロール時のキャンバー変化が少ないのが、スーパーストラットの利点だが、上記のようにストローク量が少なければ、普通のストラットサスでもキャンバー変化は目立たなくできる。かといってスーパーストラットでストローク量が大きくなると、あるところから急にキャンバー変化が大きくなるので、セッティングが出しづらく、モータースポーツには不向きと見られた。グループAレースでも、スーパーストラット仕様のレビンでは、たしか1勝しただけで、あとは普通のストラット仕様で戦ったはず。

 構造が特殊なので、アフターパーツも少なく、あっても高価だったり、交換作業が手間だったり、バネ下重量などが重いなどのデメリットもあり、けっきょくあまり普及しないまま姿を消した幻(?)のサスペンションとなった……。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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