ハンドリングとトラクションを稼ぐFFの秘密兵器! トヨタの「スーパーストラット」はなぜ消えた? (1/2ページ)

走行性能と安全性向上を図る究極のストラットとして開発された

 スーパーストラットサスペンションというのを覚えているだろうか?

 1991年にトヨタがAE101型カローラレビン/スプリンタートレノで実用化したマクファーソンストラットの発展形のサスペンションだ。一番のポイントは、通常のストラットのロワアームが1本のL型アームだったのに対し、スーパーストラットではロワアームを二分割して、片方にキャンバーコントロールアームを装備している点。

 こうすることで、スピンドルオフセットが66mmから18mmに短縮され、駆動力がステアリングに及ぼす影響を抑えることに成功。また、アッパーボールジョイントとキャンバーコントロールアームを組み合わせることにで、旋回時に車体のロールによって発生する対地キャンバーの変化を減少させ、よりタイヤ性能を引き出し、旋回性能の向上を実現させた。

 初採用は前述の通り1991年のAE101レビン・トレノで、その後継モデルであるAE111型レビン・トレノにも採用された。FF車は駆動輪であるフロントタイヤの接地性が重要視されるが、当時のレビン・トレノ(カローラ)のライバルたち、ホンダのEFシビックは四輪ダブルウイッシュボーン、日産のP10プリメーラは、新開発のマルチリンクサス(フロント)で武装し、ハンドリングには定評があった。それに対抗し、マクファーソンストラットの優れたコンパクト性を活かしつつ、走行性能と安全性向上を図る究極のストラットとして開発したのが、このスーパーストラットだった。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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