ピクニックに300万円! バッグセットが500万円! 18Kの鍵が50万円! 笑うしかないクルマの「真の贅沢装備」 (1/2ページ)

この記事をまとめると

◾︎100万円超えのブレーキなどは相応の効果があるから贅沢装備ではない

◾︎真の贅沢は走りに関係のない装備

◾︎贅沢を極めたいならロールスロイスが最強

本当の贅沢装備は「走りに関係ない」装備だ!

「贅沢な装備」という言葉をしばしば聞くが、そのたびに筆者は「だが“贅沢”とはそもそも何なのだろうか?」ということを考えてしまう。

 たとえばポルシェ911のオプション装備であるPCCB(ポルシェ セラミック コンポジット ブレーキ)は、それだけで148万7000円もする「高級な装備」であることは間違いないが、「贅沢な装備」とは言えないはずだ。

 なぜならば、そこには「より強力に車両を減速ないしはストップさせたい」という“具体的な目的”があるからだ。

 具体的な目的に基づく何かはいつだって貧乏くさい……とは言わないが、まぁ「贅沢」という概念とはちょっと違うのではないかと思うのである。

 それと同様に、Burmesterサラウンドサウンドシステムを含む63万7000円也のメルセデス・ベンツEクラスの「エクスクルーシブパッケージ」も高級装備ではあるものの、「いい音で音楽を聴きたい」という具体的な目的ゆえの装備であるため、筆者に言わせれば“贅沢”ではない。

 BMW M3コンペティションの「Mカーボン・エクステリア・パッケージ(64万4001円)」については「市販車を微妙に軽くしたところで意味ねえだろ!」という観点から贅沢認定をしてもいいのだが、やはり軽量化という(いちおうの)具体的な目的もほんのちょっとはあるゆえに、“贅沢な装備”とは言い難いのだ。

 贅沢。それは「具体的な意味や目的はさほどないのだ、物事をなんかいい感じにしたい」と考えながら、お金や時間を大量投下する行為にこそ当てはまる概念なのだろう。

 そういう意味で言うと、自動車界における最大の贅沢装備はロールスロイスの「スターライト・ヘッドライニング」だろうか。

 スターライト・ヘッドライニングは、何百もの光ファイバーライトによって車内の天井をプラネタリウム状態にできるというロールスロイスのオプション装備。コーンズの公式HPによれば、そのお値段は税込み196万9000円からだという。

 ロールスロイスの場合、スターライト・ヘッドライニングよりもさらにゴージャスな車内プラネタリウムを備えた55台の限定車「レイス・ルミナリー・コレクション」を2018年に発表しているわけだが、スターライト云々にもルミナリー云々にも共通しているのは「だから何なんだ?」ということである。

 車内の天井に、ロールスロイスの職人さんたちが腕をふるった結果による擬似的な星空が広がったところで、ロールスロイスの例えばファントムは、制動距離が短くなるわけではないし、0-100km/h加速タイムが短縮されるわけでもない。もちろん燃費も向上しないだろう(逆に微妙に悪化したりするのだろうか?)。

 つまり、特に意味はないのである。いや、もちろん助手席や後席に座る人々が「いい気分になる」という効用はあるのだろうが、何かこう具体的な効用効果というのはいっさいない。

 200万円近くのマネーを投じながら「意味のない行為をする」ということこそが貴族的であり、“贅沢”なのである――と筆者は思う。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

愛車
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絵画制作
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町田 康

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