稼ぎ時の9月に「売るクルマ」が存在しない! 新車販売現場を襲う「出口の見えぬ」苦悩 (2/2ページ)

問題が解決されない限り10月・11月の新車供給状況は悪化する

 ある新車販売ディーラーで聞いたところでは、「ウチの店舗では営業スタッフは5人いるのですが、販売実績として計上(9月登録になった新車の数)できたのは、1台が4人で、残りひとりは0台でした。私もそこそこのキャリアがありますが、9月でこの実績と言うのは初めてですね」と現状を話してくれた。

 しかし、前出セールスマンは「10月や11月はもっと深刻な事態になるかもしれない」と続けてくれた。9月というのは事業年度(4月から翌年3月)でみると、上半期末となり、”期末決算セール”などと銘打って、年間でもっとも新車が売れる事業年度末となる3月の次に新車が売れる重要な月として各メーカーとも位置づけている。

 そのため、メーカーとしても苦しい台所事情ながらも、かなり無理して1台でも多く新車を各ディーラーに手配し、実績反映してもらおうとしていたはず。そんな事業年度締めでの上半期末でも深刻な販売台数の低迷となったのだから、現状の部品の問題などが解決されない限りは10月や11月のメーカーからの新車の供給状況はさらに悪化し、販売実績ゼロも覚悟しなければならないとも語ってくれた。

 新車を販売しただけではセールスマンはセールスマージンを受け取ることはできない。登録(軽自動車は届け出)が完了、つまりナンバープレートを発給してもらえた時点で初めて実績として申告が可能となるのだ。そのため、現状でも新規受注はしっかり取れているのだが、納期遅延で登録が進まないので、セールスマンの収入にも深刻な影響を与えているのである。新車販売以外でももらえるので、セールスマージンゼロということはないが、限りなく基本給に近い額にまで給料が減っているとも語ってくれた。

 なかなか状況が読めない日々となっているので、とにかくえり好みはせずに、新車の受注を積み上げていくしかないともセールスマンは語ってくれた。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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