【試乗】お手頃価格でも上質! ワゴンRスマイルの「走り」と「中身」にスズキマジックを見た (1/2ページ)

価格を抑えつつもインテリアの質感を追求!

 軽自動軽自動車のエキスパートであるスズキから登場したワゴンRスマイル。ユーザーの「あったらいいな」の声を、これまでになかった背丈と”両側スライドドア”などに新たに取り入れ、個性と質の高いデザインとともに仕上げられたワゴンRのニューファミリー。

 軽ワゴン車市場を牽引するワゴンRは1993年に登場以来、販売台数は常に右肩上がり。6代目となる現行モデルが2016年に発売されてからも販売台数を年々記録更新伸し続ける超人気モデル。ただ、軽自動車の市場ではスライドドアへのニーズが5割と高く、実際にスズキのディーラーにも「スライドドアのモデルはありますか?」と訪ねてくる方も多いのだそうだ。背の高さはワゴンRくらいで十分、空間の広さにも不満はない。一方でドアが自動で開く、駐車場で安心してドア開閉ができるモデルを希望するユーザーニーズの変化に対応してワゴンRも変化させてみようと誕生したのがワゴンRスマイルだ。

 両側にスライドドアを採用しているのはもちろん、全高がワゴンRより45mm高く、参考までにスペーシア(カスタムと比較)よりは90mm低い背丈(全高)=1695mmがスマイルの特徴。ちなみに全長や全幅は軽自動車のサイズ制限に従った目一杯の数値ゆえ、みんな同数値。実際、3モデルを並べてみれば全高の違いを視覚化できるだろうけれど、いずれにしてもバランスのとれたデザインをそれぞれが採用しているため、まさに三車三様と言えるだろう。そう、スマイルのデザインもスズキのどのモデルとも似ていない個性が与えられ、さらにそのデザインを心地よく楽しめる質感も与えられている点がスズキらしい。

 デザインの印象は親しみやすさと居心地のよさ。外観は基本のフォルムはスペースにこだわりありと想像がつく角ばったカタチをしているものの、角々が丸められ、ボディ全体のシルエットも一見スッキリ&スマートなのに、微妙にふっくらと柔らかい面構成が製造品質とともに表現されている。そしてソコにクリっとキリっと輝く丸目のライトと個性的なパターンのグリル採用、甘くなり過ぎず愛らしいフロントマスクにまさに親しみやすさを抱くことができる。

 今回、グレードによって2パターンのライトとグリルが用意されており、最上位モデルのHYBRID XにはLEDヘッドライトとその内部に肉厚インナーレンズを配するポジショニングランプを採用。HYBRID SとGグレードはハロゲンヘッドライトとなる。HYBRID Xはメッキベゼル付きLEDフロントフォグランプも標準装備され、それは機能性はもちろん、見た目の“キラキラ系スマイル”ぶりもさり気なくもこれがナンバー1だと思う。バックスタイルはサイコロにタイヤを付けたようなスクエアなフォルムの中央の左右位置にランプを配置。縦長ライトの内蔵ランプ類の配色とカタチのバランス、さらに高めに位置にすることで、後ろ姿にはほのぼのとした安心感を抱く。ちなみに外装は2トーンカラーとモノトーン、12通りのカラーバリエーションから選ぶことができる。

 インテリアではまず前席の前方、柔らかな曲線を描くインパネをはじめ、4ドアのワゴンRと同じ配置に“見える”のはシフトレバーとエアコンの操作パネルくらい。前面左右はカッパーゴールドのパネルの風合いもよく、さらに個人的に絶賛したのがドアトリムやインパネのステッチ風のアクセント。樹脂の一枚成型ながら、柔らかさの演出、そして糸で本当にステッチを手縫いしたような質感が上手に表現されている。またシート形状は4ドアワゴンRと共通ながらファブリックシートの表皮(ライトグレーとダークグレーとがある)もお洒落にシックにまとめられているのもよい。天井のキルティングのモチーフも……、と細かなところまでデザイン性が感じるので、つい語りたくなるスマイルなのだ。

 そんな室内に保たれる空間は室内高ではワゴンRに対し65mm高く、前後乗員の距離は±0(ゼロ)mm。ショルダールームについては前席で9mm、後席で47mm狭まっているそうだが前席のヘッドクリアランスはもちろん、とくに後席は圧倒的に広がっている。実際に後席に座ってみてもサイドウインドウからの距離やヘッドクリアランスも十分に保たれている。リヤシートは160mmの前後スライド調整が可能であり、分割式の背もたれを畳めばラゲッジとほぼフラットに繋がる収納スペースが生まれる。

 収納やフックも充実。助手席のシートアンダーボックスやシートバックポケット、USB電源ソケットとその周辺のモノ置きの配置やサイズなども至れり尽くせり。改めて言おう。居心地よく実用性にも優れたボディにスライドドアが付いたモデルがワゴンRスマイルだ。


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