「48V」という「中途半端」な電圧には意味ある! コストと効率の絶妙なラインだった (2/2ページ)

48Vはギリギリ高電圧にならないから低コストに効く

 それでも48Vマイルドハイブリッドは、300V級高電圧となるストロングハイブリッドよりはコスト面で有利だ。さらに、48Vという電圧はコストが上昇しないギリギリのポイントとなっていることから選ばれている。

 高電圧のストロングハイブリッドの場合、さまざまな安全装置が実装されているほか、電線についても高コストのものを使わなくてはならない。

 一方、48Vのシステムにおいては、瞬間電圧でも60V以下に抑えることができる。60Vというのは高電圧に分類されるかどうかの分かれ目となる数値だ。

 つまり48Vマイルドハイブリッドにおいては、高電圧ハイブリッドに必要な安全装置が不要ということになる。すなわち、コスト面で大幅に有利なハイブリッドシステムを構築することができるのだ。

 コストダウンには、大量生産という要素も効いてくる。

 結果オーライ的な話ではあるが、欧州メーカーが48Vマイルドハイブリッドを幅広く採用するという計画を立てたことで、多くのサプライヤーが48V系の電装パーツの開発を積極的に進めた。

 48Vマイルドハイブリッドに必要なパーツの選択肢は増えるし、量産効果によって全体のコストも下がっていった。そうして、ますます48Vマイルドハイブリッドを採用するというインセンティブは大きくなっていった。

 それが欧州メーカーにおける48Vブームの背景といったところだろう。

 とはいえ、ハイブリッドシステムによる燃費改善効果として考えると、電圧が高くなるほど効率面で有利。また48Vマイルドハイブリッドはプラグインハイブリッドへと展開しづらいシステムでもある。

 マツダが新しい直列6気筒エンジンアーキテクチャにおいて48Vマイルドハイブリッドを採用すると発表はしているが、より電動化が進んでいくというトレンドから考えると、48Vマイルドハイブリッドは一過性のものとして、今後は減っていくといえそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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