超ハイテク「しゃくとり虫」! ボディが伸び縮みする「アウディ・スカイスフィア」は何目的のコンセプト? (2/2ページ)

GTカーとスポーツカーの性能が1台に同居する

 じつはアウディのスカイスフィア、全長の発表はあったものの、ホイールベースの具体値は確認することができなかった。全長5000mm超クラスの車体長といえば、メルセデス・ベンツのSクラス(W223)がこれに該当するが、そのホイールベース値はそれぞれ3215mm(ロンクホイールベース車、全長5290mm)、3105mm(標準ホイールベース車、全長5180mm)で設定されている。先にも触れたよう、ベンツはスタビリティを第一義に考えながら、旋回性能の自由度も同時に追い求め、その結果、前後オーバーハングの質量軽減という手法で車両を作り上げている。

 メルセデスの全長/ホイールベースを参考例とするなら、アウディ・スカスフィアのホイールベース値は、やはり3000mm前後と見てよいたのだろうが、仮に伸張時のサイズを3000mmとするなら、縮小時は2750mmとなる。それぞれ、これ以上の数値となる可能性は高いが、本格的な巡航性能を持つラグジュアリー志向の高い大型車で、ホイールベースを可変させて旋回性を確保する理由はいまひとつ不明である。

 実際の話、残念ながらホイールベース3000mm超の大型サルーンでワインディングを攻めて走った経験はないが、このサイズでホイールベースが250mm違ったら、旋回感覚はかなり違ったものになるかもしれない。

 しかし、それよりもむしろ、このホイールベース(車両全長)可変機構は、小型車クラスで実現されればそのメリットがかなり大きなものになることが容易に想像できる。ホイールベース伸縮時にはコミューター的な取り回しのよさ、最大伸張時はパッセンジャー空間を拡大して快適な移動空間の確保と、極端に言えば、1台2役的な実用性能の実現が可能となる。

 基本的にホイールベースは長ければ安定方向、短ければ旋回方向の特性となるわけだが、アウディのスカイスフィアは、時代の進歩が可変ホイールベースの実現を可能とし、1台の車両で相反する性能やハンドリングの実現が可能であることを示唆したものと受け止めてよいのではないだろうか。


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