「小さかろう」「よかろう」って最高じゃないか! 3ナンバーに負けない「走り」「使い勝手」の5ナンバー車5選 (2/2ページ)

走りを求める人も納得なラインアップがあった

3)トヨタ・アクア

 とはいえ、スズキ・ソリオ、ダイハツ・ロッキー、トヨタ・ライズともに全高が高く、立体駐車場の入庫はできないことが多い(多くは1550mm制限)。そこで、全高1550mm以下の5ナンバー車で魅力的なモデルを探してみると、最新のトヨタ・アクアが当てはまる(全高1485mm)。

 先代の後席の狭さや乗り心地の硬さは見事に解消されている。2モーターのストロングハイブリッドだから燃費性能に優れるだけでなく、太っ腹に、全グレードにAC100V/1500Wコンセントを標準装備。アウトドアではもちろん(アクアにアウトドアが似合うかどうかは別にして)、災害時の電源供給車としても大活躍してくれる、”安心”も標準装備の1台なのである。

4)日産 ノートe-POWER

 e-POWER専用車となった日産ノートも、5ナンバーサイズの電動車だ。ここで言う電動車とは、ノートの場合、1.2リッターエンジンを発電のみに使い、駆動は100%モーター。極めて電気自動車に近い走りが味わえるコンパクトカーである。

 さらに、日産自慢の最新のプロパイロット1.5(スカイラインの2.0のような3Dマップは使っていないが、GPS、地図データとカメラ&レーダーによって高速道路上でのカーブ手前減速制御といった標識の読み取りによる速度制御を”廉価に”可能にしているのだから画期的)やワンペダル機能、SOSコール、スマホ連動の日産コネクトによるオペレーターサービスなど、先進で安心できる装備も満載だ(セットオプション含む)。

 さらに世界初と言われる発電制御もすごい。1.2リッターのエンジンが発電に使われることはすでに説明したが、路面状態や走行速度によって、タイヤが発するロードノイズが大きいとエンジンの発電を積極的に行い、バッテリーを充電。この場面では、発電するエンジン音がロードノイズによって目立たなくなり、実際、走っていて、発電のためにいつエンジンがかかったかなど、まったく気づかせないほど。

 だから終始、車内は静か。そこもまた電動車ならではなのである。後席、ラゲッジスペースにも十分なゆとりがあり、運転初心者からベテランドライバーまでが満足できる、ファミリーカーとして最適な5ナンバーモデルと言えるだろう。

5)トヨタ/ダイハツGRコペン

 最後に紹介するのは、今、5ナンバーで乗れる希少なスポーツカーだ。たとえば初代ユーノスロードスターは着るような感覚で乗れたジャストサイズの5ナンバーモデルだったのだが、現在のマツダ・ロードスターは全幅1735mmの3ナンバー。もちろん、トヨタ86やスバルBRZも3ナンバーだ。が、国産5ナンバーのスポーツカーで忘れてはいけない1台が、軽自動車規格の5ナンバーで乗れるダイハツ/トヨタのライトウエイトオープンスポーツであるコペンGR SPORTだ。

 ダイハツ・コペンをベースにしたエンジン排気量660cc+ターボのGRバージョンだが、エクステリア、インテリア、シャシー、ボディにまでGR(ガズーレーシング)の手が入り、レカロシートまで用意される、かなり本格、本気の軽コンプリートスポーツカーなのである。

 フットワーク、スタビリティは本格スポーツカーそのもので、低速から高速域まで、アドレナリンが逆流するようなスポーツ心を満足させる走りを堪能させてくれるのだから嬉しすぎる。5速MTで乗るのが本筋だが、CVTも用意されているから、ユーザーを選ばない点もいい。ルーフクローズ時ならトランクスペースにゴルフバッグが斜めに入るから、使い勝手もそう悪くない。

 200万円台前半で手に入るコペンGR SPORTのガチライバルはホンダS660モデューロXだが、今では新車で買うことは困難だから(原稿執筆時点ですでにオーダーストップ。中古はプレミアム価格!!)、新車に限定するならクラス唯一の選択肢になる。そこもまた、ライトウエイト&マイクロスポーツカーマニアの心をくすぐるに違いない。

 というわけで、ガラパゴス的でもある日本の5ナンバー車でも、魅力的なクルマはまだまだ残されているということだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報