昔のクルマファンはちょっと寂しい? 独特の「新車の匂い」の「発生原因」とイマドキのクルマから消えたワケ

この記事をまとめると

■かつて新車には特有の匂いがあった

■原因は樹脂やゴムで作られた内装材から出る有機化合物

■いまのクルマからはなくなった

体には良くない成分だった

 新車が納車されるときのワクワク感はなにものにも代えがたいもの。クルマ好きならずとも、最高の瞬間だ。新車で、ここ数年なくなったものがあるのに気がついているだろうか。それがいわゆる「新車の香り」だ。どちらも別になくても構わないというか、ないほうがいいのだが、少々寂しいのもまた事実。なぜ存在し、なぜ無くなってしまったのだろうか?

 まずは新車のニオイから。大きな原因は家庭でシックハウスとして問題になったものと同じ樹脂やゴムで作られた内装材から出る有機化合物で、塗装や接着剤も含まれる。簡単に言ってしまえば、接着剤を嗅ぐといわゆる「シンナー臭い」というやつで、新車独特のニオイとしてその存在自体はなんだかありがたがったりしたが、もちろん体にはよろしくない成分だった。

 クルマの場合は常にそこで生活しているわけではないので、影響を受ける時間は限られているし、窓が開けられたり、走行風が入ってきたりするので、しばらくすると揮発してなくなってしまうこともあり、大きな社会問題にならなかっただけ。家やオフィスでは、滞在時間が長かったりすることからアレルギーや喘息などの症状が出て、ご存じのように社会問題にもなった。

 これを受けて、2000年ごろから揮発性有機化合物(VOC)対策の重要性が叫ばれるようになり、2007年から各自動車メーカーが具体的な対策を始めて、クルマそのものはもちろんのこと、生産工程でも排除させるようになって現在に至っている。新車でもほぼ無臭になっているのはこの対策のおかげだ。

 輸入車も日本車とはまた違ったニオイがして、異国情緒すら感じたものだが、もちろんこちらも発生源としては同じなので、最近では無臭になっている。

 原因が原因だし、嗅いでいるうちに車酔いになってしまうこともあった。それゆえ、ないほうがいいのだが、当時を知る人はとくにそうだと思うが、ないのも心のどこかで寂しいのは事実だ。

 ちなみに同様の存在としてビニールがあるが、こちらはシートにはまだ残っていて、厳密に言って懐かしいのは内張りにかけられていたビニール。巻き込むように付いていたので完全に取り除くは不可能で、少し残ってしまうことがあったりしたのもいい思い出だ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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