日本車は「若造」すぎて旧車はあれどクラシックカーは存在しない!? 「クラシックカー」や「ヴィンテージカー」の定義とは (2/2ページ)

国産車でクラシックカーと呼べそうなのは三菱A型くらい

 翻って、国産車でヴィンテージやクラシックと呼ばれるのは、トヨタ2000GTや日産スカイラインGT-R、マツダ・コスモスポーツといったモデルだったりするが、それぞれデビュー年次でいうと2000GTとコスモスポーツが1967年、スカイラインGT-Rは1969年となる。

 グローバルなクラシックカーという定義に当てはまるかといえば微妙だ。世界的な旧車の世界でいうと、これら国産ヒストリックモデルは若輩者だったりするのだ。

 その意味で、冒頭で記したように「日本車にはクラシックカーは存在しない」という主張には一理ある。トヨタが最初に量産したトヨダAA型は1936年生まれ、日産のルーツといえるダットサン12型の製造開始は1933年であるから、いずれもイギリスではヴィンテージカーとしては認められない年式なのだ。つまり多くの国産メーカーは、欧米基準のクラシックカーをそもそも製造していない。

 もっともゼロとういうわけではない。日本初の量産車といえば1919年に三菱造船が製造した三菱A型というのが定説となっているが、同時代に製造された日本車であれば世界的なクラシックカーの基準を満たすといえる。

 とはいえ、単に古ければクラシックカーと呼んでいいというわけではない。

 いわゆるオークションなどで高値取引されるクラシックカー、ヴィンテージカーにおいて大切なのは「ヒストリー」と呼ばれる履歴だ。

 車台番号から製造日などが明確になっていることはもちろん、過去のオーナー歴などが明確になっていることが重要だ。その中に設計者やテストドライバー、レーシングドライバーや著名人などが含まれているとヒストリーにストーリーがあるということで評価が高まったりする。

 ただし、日本ではそういたヒストリーを裏付けて認証する機関もないため、欧米的な価値観によってクラシックカーを評価するのは難しいというのも現実だ。日本でもクラシックカーの本格的なオークションは始まっているが、クラシックカー文化が定着するには一朝一夕というわけにはいかないだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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