もはや伝説! オリジナルスポーツカーまで販売した「トミーカイラ」という夢と執念の国産メーカーとは (2/2ページ)

スーパーGTに参戦していたクルマもトミーカイラが関わっていた

 そして大きな注目を浴びたのが、1995年に発表され、1997年から発売を開始したオリジナルモデルのトミーカイラZZだ。ZZとはふたりの爺(ジージー)が作り上げたという意味が込められているとされているとされる。シャーシも含めてすべてオリジナルで、デザインを由良拓也氏が担当した丸みを帯びたボディをまとう。

 シャシーはアルミ製モノコックとし、ボディはFRP製なので、車重は710kgしかなく、エンジンはプリメーラなどに積まれたSR20DEをインジェクションからキャブレターに変更してリヤミッドシップに搭載している。トミーカイラZZはイギリスで生産され、日本へは輸入という形だったので、ナンバーを付けることができ、最終的に206台が生産されたとされる。

 2001年にはスポーツカー開発部門をオートバックスに譲渡して、オートバックス・スポーツカー研究所とし、解良副社長らが移籍。背景には開発費などの負担問題があったとされている。残った販売部門は2002年に分社化してトミタ夢販売へと社名を変更したものの、2003年にトミタ夢工場が倒産。

 トミーカイラブランドもオートバックスへと引き継がれ、計画していたZZ-IIは最終的に市販化はされず、代わりにガライヤを市販するという流れだった。しかし、そのガライヤも極少数製造されたのみで、本格的な市販かはされなかった。代わりと言ってはなんだが、ガライヤはスーパーGTでレーシングカーとして活躍した。

 その後、ブランド名は他社に渡るなどしていたが、オリジナルコンプリートカーの権利についてはトミーカイラのブランド名とともに、京都大学発の企業であるGLMという会社が継承し、ZZの電気自動車を発売した。シャシーからオリジナルであり、生産認可を受けたことから12番目の自動車メーカーとして話題になった。

 2021年6月までは、コンプリートモデルの製造はGLMが、チューニングカーの開発・製造・販売についてはGTSという会社が、それぞれトミーカイラのブランドで行っていた。いずれにしても、ふたりの開発者が起業した個性あふれるメーカーは紆余曲折ありつつも、現在も名を残していることは覚えておきたい。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

-

愛車
フィアット500(ヌウォーバ)/フィアット・プント/その他、バイク6台
趣味
レストア、鉄道模型(9mmナロー)、パンクロック観賞
好きな有名人
遠藤ミチロウ、岡江久美子

新着情報