【試乗】新型トヨタ・アクアは使えるハイブリッドの極み! 衝撃の進化度合いをリポート (1/2ページ)

バッテリーも含めて中身は大きく進化した!

 トヨタがベストヒットコンパクトカーであるアクアをフルモデルチェンジした。アクアは2011年に登場。ちょうど東日本大震災のその年にトヨタ自動車東日本(当時の関東自動車工業)の岩手工場で産声をあげたのだ。地震や津波などの災害から復興する日本を象徴する存在として成長する姿をアクアが示すことで、復興への想いをユーザーが共有したこともあり大ヒット車となったともいえる。単に想いだけでなく、その高い実用性やハイブリッド(HV)専用モデルとしての低燃費性能なども、プリウス一辺倒だったHVのマーケットに新しい風を吹かせたのも事実だ。

 2011年の発売以来、販売台数は187万台を数え、日本だけでなく北米などでも大人気なモデルと成長している。

 新型アクアは、通常5〜6年のフルモデルチェンジ周期を大きく超える10年というライフサイクルのなかで、自動車業界の大きな技術的な革新や新システムなどの導入を基軸として磨き上げ、搭載しての登場となったと言えるのである。

 燃費性能で言うと、従来比で約20%向上させられ、モード燃費で35.8km/Lという数値を実現している。また、駆動用メインバッテリーにバイポーラ式のニッケル水素電池を採用。バイポーラ型は従来型に比べ、バッテリー出力が約2倍に向上し、よりモーターを強力に稼働させることができるなど、リチウムイオン電池だけに依存することなく新しいHV用バッテリーの選択肢として注目を集めていると言えるのである。

 新型のHVシステムには1.5リッター直列3気筒のダイナミックフォースエンジンが組み合わされている。ダイナミックフォースエンジンは極めて高効率で出力特性にも優れ、アクアの走りをより強化することに役立っている。プラットフォームはTNGAのGA-B型を採用。これはヤリスなどにもすでに採用されていて高い評価を得ているプラットフォームである。

 従来型のボディサイズはそのままに、ホイールベースを50mm延長することで後席の居住性や荷室空間が拡大し、より実用性の高いパッケージングになったのも特徴的だ。

 運転席に乗り込むと、ダッシュパネルのセンターに10.5インチの大型ディスプレイオーディオがトヨタのコンパクトカーとしては初めて装備されたのが目を引く。また、メーターも液晶式で視認性に優れ、さまざまなインフォテンツが表示される。ダッシュボードまわりはソフトパッドにステッチの縫われた丁寧な仕上げがなされ、ピアノブラックの華飾などが施され質感が高い高級車のような見栄えと作りが与えられている。

 ステアリングは3本スポークの革巻きでスイッチ類も行儀良く装備している。HVのセレクターは電気式のプリウスタイプを継承し、セレクターレバー方式となったヤリスとは一線を画している。センターコンソールの作りも高級になり、コンバートメント容量も増した。ただパーキングブレーキには足踏み式が採用されていて、こうした室内の作りの良さや先進性と少しちぐはぐした感覚が感じられるのも否めない。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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