播磨のHじゃない「IHI」! ホンダF1もフェラーリF40もお世話になった会社だった (2/2ページ)

世界規模で見てもタービン製造のパイオニア的存在

 ホンダF1との関係はつい最近、2020年シーズン初めまで続いたが、フェラーリとの関係は現在進行形で続いている。というのも、フェラーリ・カリフォルニアTからポルトフィーノ、488GTBやピスタにF8といったV型8気筒の系譜は、こぞってIHIのターボチャージャーを採用してきた。

 IHI製ターボチャージャーの数ある強みのひとつは、インペラにインコネルニッケルクロム合金ではなく、TiALと名づけられたチタンアルミナイド材料を用いている点だ。材料費は高いが慣性を30%以上も抑え、しかもインペラ自体、鋳造でなくマシニングによる削り出しで、フローティングメタルベアリングではなくボールベアリングを介して取り付けられているという。ラグの少なさ・レスポンスよさで秀でるのだ。

 しかも最新のハイブリッドV8ツインターボである296GTBに採用されたIHI製ターボチャージャーでは、より高性能の合金に進化。タービン自体の最大回転数は18万rpmにも上るとか。

 ダウンサイジングやバリアブル・ジオメトリー・ターボがガソリンでもディーゼルでも常識化した今や、IHIのターボは高性能なスーパーカーに限らず、VWゴルフのような欧州車、ダイハツ・タントのような軽自動車にも積まれている。現在ではIHIのターボは自動車メーカーへのOEM供給だけでなく、ここ数年はサードパーティのチューニング・パーツとしても販売され、ますますその裾野を広げている。そればかりか、FCV(燃料電池車)用の電動ターボも手がけるなど、未来へのソリューション・テクノロジーとしても注目されており、やはりターボなくして脱炭素化は無さそうな気配すら漂ってきているのだ。


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