マフラーから「パンパン!」の破裂音は「あえて」だった! 市販車にも採用される秘密兵器「ミスファイヤリングシステム」とは (2/2ページ)

1990年代に実用化されていまなお現役のレース車両にも搭載される

 いまでもWRCやスーパーGT、ドリフト競技に使用されているシステムだが、競技車両専用のものではなく、市販車でもスバルのインプレッサWRX STi(GDB以降)、三菱のランサーエボリューション(CE9A以降)、トヨタのセリカGT-FOUR(ST205)など、グループAのベース車両には標準採用されていた。

 というのも、当時のWRCのレギュレーションでは、市販車にないシステムを追加することはできなかったので、これらのクルマには市販車にもミスファイアリングシステムを用意して、ノーマルではECU制御で働かないよう封印して売られていた。

 ちなみに、ミスファイアリングシステムというのはスバルの呼称で、トヨタや英語圏では「アンチラグシステム」、三菱では「2次エア供給システム」と呼んでいる。

 最近話題の「バブリング」も、アクセルオフにあわせ点火時期を大幅に遅角させ、未燃ガスをエキマニに送り、そこで燃焼させる点では、ミスファイアリングシステムの一部といえるが、ハブリングはターボラグの解消というより、「ハブリング音」を出すための音のチューニング、演出が目的なので区別したいところ。

 ミスファイアリングシステム自体は、保安基準でもNGということはないが、排ガス検査や近接排気騒音検査でダメ出しされる可能性があるので、システムはスイッチでON/OFFが切り替えられるようにした方が無難。

 また、ミスファイアリングシステムを使うと、未燃ガスが燃えるときの「パンパン」といった音(それが魅力といえば魅力)や、燃費の悪化、触媒など排気系にダメージを与えるなどのデメリットもあるので、競技車両以外だとメリットは少ないというのが現状だ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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