いまや世界的にSUVだらけだが……悪路のプロが認めたたった2台の「ホンモノ」とは? (2/2ページ)

ジムニーとラングラーでは得意分野が異なる

 リジッドアクスルはラダーフレーム同様、頑丈であるうえに、サスペンションストロークを長く取れる。よって車輪が浮きにくくなり、エンジンの力を確実に大地に伝えられる。副変速機があれば、歩くより遅いペースでも大きな駆動力が出せる。

 最近は電子制御で各車輪に独立してブレーキを掛け、浮いた車輪の空転を抑えたり、滑りやすい路面でじんわりトルクを掛けたりするシステムが流行しているが、エンジンの力を抑えながら伝えているわけで、メカニカルな方式のほうが走破性では有利だと考えている。

 ラックアンドピニオン式ステアリングは、オフロードをひんぱんに走る人ならわかると思うが、レスポンスが優れるぶんキックバックが激しく、岩場では指をケガする恐れがあるし、耐久性でもボールナット式が上だ。

 もうひとつ忘れてならないのはボディサイズ。もちろん小柄なほうが取り回しやすいし、ホイールベースやオーバーハングが短いほうが障害物の乗り越えで有利だ。軽ければ砂地などでスタックしにくくなる。

 ジムニーの走破性はこの部分に負うところも大きいし、ラングラーやディフェンダーがショートボディを用意しているのはオフローダーとしてのこだわりだろう。

 ではジムニーとラングラーのどちらが上か。個人的には得意分野が異なると思っている。ひとことで言えばサンドのジムニー、ロックのラングラーとなるだろうか。マツダ・ロードスターとシボレー・コルベットで持ち味が違うのと同じだ。


森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

グッドデザイン賞審査委員

愛車
1971シトロエンGS/2002ルノー・アヴァンタイム
趣味
ネコ、モーターサイクル、ブリコラージュ、まちあるき
好きな有名人
ビートたけし

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