旧車の「レストア」は手軽に手を出せるシロモノじゃなかった! 莫大な費用と時間がかかるフルレストアの現実 (2/2ページ)

莫大な費用がかかることも!

 そのやる気の源泉となるのが費用だ。厳しい言い方をさせてもらえれば、この点にユーザー側の甘さがある。自動車関係の整備費用は時間工賃で算出するのが通例で、簡単に言ってしまえば時間工賃に作業した時間をかけて請求額を出す。新車ディーラーでは、予め指数というのがあって、それを時間工賃にかけて出しているが、古いクルマの場合、やってみないとわからない部分があって、膨大な時間がかかることも。フルレストアならなおさらだ。

 かかりっきりで1日8時間作業して、時間工賃が8000円だとすると、6万4000円。1カ月25日稼働だとすると160万円となる。さらに3カ月かかると480万円、半年で960万円。ちなみに8000円という時間工賃は、人手不足の昨今、かなり安い部類に入るので、実際はもっとかかる。しかもこれは工賃だけで、部品代、加工代、材料代などを考えると、雪だるま式に増えていくことになる。消費税だけでも莫大だ。

 通常、パック料金ではないがグロスで安くすることもあるし、ほかの作業の合間にやることで安く抑えてはくれるのだが、この合間というのがクセモノで、結局放置につながってしまうのが定番パターンだったりする。もちろんそうなると、完成までの時間はドンドンと伸びていく。

 と、手間と時間をザッと紹介してきた。そう考えると、フルレストアしたクルマを仕入れたという場合を除いて、百万円代前半の金額でのフルレストア車などというのは基本的にありえないことがわかるだろう。また安くやってもらえたという例もあるかもしれないが、ボランティアではなく、あくまでも商売なので、どこかで手抜きをしている可能性もある。こういったことがレストアのトラブルの背景にあるわけで、いずれにしても気軽にフルレストアを行ってはダメということがわかってもらえるだろう。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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