どんなことをする? 料金は? いま話題の「自動車運転外来」の中身 (2/2ページ)

さまざまなリハビリテーションが用意されている

 これらの結果を踏まえ、個人の低下した機能に合わせてどんなリハビリテーション治療が必要なのかを判定。運動を取り入れて脳を活性化させるものや、目と手の動きで集中力、注意力を鍛えるものなど、レベルに合わせてさまざまなリハビリテーションが用意されています。

 そして最終的には、自動車教習所での実車評価を経て、必要に応じて免許更新を後押しするための診断書の作成を行うか、もしここで運転はやめた方がいいという結果となれば、免許返納を薦めることになります。運転外来は、全員が運転再開できることを約束するものではなく、あくまでまずは自身の現状を把握し、それによってリハビリやトレーニングを行い、症状が改善すれば運転への不安が取り除かれ、改善が見られなければ免許返納への決意を促すきっかけになるというものです。そのため、何度言っても運転をやめようとしない高齢の両親を案じた娘・息子さんから強く勧められてやってくる人も多いようです。

 運転外来の期間ですが、診断のレベルによって変わり、だいたい2〜10日間程度というところが多く、自動車教習所の空き状況によっては数カ月待ちとなる場合もあるようです。費用については各病院によってさまざまですが、ドライブシミュレーターのリハビリテーションで、1時間あたり7000円〜8000円前後というのが一般的となっています。

 自分の運転能力はどれくらい衰えてきているのか。あと何年くらい運転できるのか。もし少しでも不安に感じたら、こうした運転外来を受診してみることをお勧めします。

 また、もし近くに運転外来が見つからないという場合には、自宅でもできる安全運転のためのトレーニングがあります。たとえば日本自動車工業会が提案するトレーニングが、「交通脳トレ3ヶ月」。とっさの危険を察知する脳の力を活性化したり、考える力ややる気を支える脳の動きを活性化するトレーニングがプログラムされており、Webサイトからプリントアウトすればどこでもチャレンジ可能。JAFの「高齢運転者総合応援サイト」にも、運転に必要なさまざまな能力をトレーニングする情報がきっしり。さらに、トヨタ自動車が提案する「神経シゲキ体操」はとてもユニークですが、日頃刺激していない体幹の運動神経を目覚めさせることで、運転中の誤操作や事故回避につながる可能性があると期待されているそうです。家族みんなで楽しくできる体操なので、朝のラジオ体操の代わりに日課にして、運転能力の向上を目指すのもいいですね。

 高齢化社会はみんなの問題。高齢ドライバーを責める前に、ひとりひとりができることから、よりよい社会、誰もが安心して暮らせる社会に向けて努力していきたいですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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