故障でもないのにブレーキを踏んでも止まらない恐怖! 誰にでも起こりうる「フェード」の原因と予兆とは (2/2ページ)

煙が出ていても水をかけてはダメ!

 前ページのような症状に気づいたら、ブレーキが完全に利かなくなる前にクルマを止めて、30分ぐらい休憩し、ブレーキを十分冷やしてあげよう。

 このとき、たとえブレーキからモクモクと煙が出ていたとしても、水をかけたりしないように! 煙が出るほど熱くなったブレーキに水をあけると、ローターが割れたり歪んだりするので、時間をかけて空気で冷やすこと。ブレーキが冷えれば、フェード現象は解消し普段の利きが戻ってくる。

 またフェードを起こさないための対策としては、耐フェード性の高いスポーツ用のブレーキパッドに交換するのが一番。

 乗り方では、長い下り坂であったとしても、ずっとブレーキを踏み続けるのではなく、直線部はギアを1段か2段落として(ATでも)、エンジンブレーキを使い、フットブレーキはコーナー手前に限って、しっかり短く使うようにする。

 ブレーキをちょこちょこ多用するクセがある人はとくに注意が必要で、AT車で普段から左足ブレーキを使っている人も、無意識のうちに軽くブレーキを踏み続けていることがあるので一度見直してみるといいだろう。

 なおブレーキパッドは消耗品で、乗用車なら4~5万kmが交換の目安。新品のパッドは真在の厚みが10mmぐらいなので、それが5mm以下になったらそろそろ交換時期。2mmまで減ったら危険な領域だ。

 ただし、パッドの摩耗は耐フェード性にはほとんど影響しないといわれている。その代わり、熱の影響でブレーキフルードに気泡が生じ、ブレーキペダルが奥までスコンと入って利かなくなる「ペーパーロック現象」が起きやすくなるので、パッドはなるべく早く交換したほうが安心だ。ブレーキフルードも鮮度が命なので、2~3年に一度は交換すること。

 ちなみに、『ESC』(横滑り防止装置)や 『EBD』(電子制御制動力配分システム)がついているクルマは、リヤブレーキを積極的に使って、姿勢制御を行なっているので、フロントブレーキよりもリヤブレーキのほうが高温になりやすく、パッドの摩耗も早い傾向があるので覚えておこう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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