モーターはカタパルト発射的! エンジンは生き物感! NA・ターボ・ディーゼル・モーターの加速感覚はどれも捨てがたい (2/2ページ)

実用車の域にとどまっているはずのEVの圧倒的な加速性能

 そして、こうした内燃機関に対し、電気モーターによるEVの加速感がどんなものか、気になるところだ。しかし、EVはまだ創生期にあり、内燃機関搭載車のようにバラエティに富んだ車種設定はまだなく、実用車の域にとどまっているのが現状だ。そこで、EVの可能性、ポテンシャルを示す実例として、ニスモが実験的な意味合いで製作したリーフ・ニスモRCの試乗感触を紹介することにしたい。

 2018年暮れに発表された第2世代となるリーフ・ニスモRCは、車体前後に120kWのモーター2基を搭載。出力は合計240kW(約326馬力)だが、最大トルクは640Nm(約65.3kg-m)と圧倒的だ。内燃機関は、ある程度回転が上昇しないと最大トルクが得られない特性だが、電気モーターは起動時にトルクが最大となるため、加速特性は内燃機関の比ではない。動き始めが圧倒的なのだ。

 また、回転上昇に従いトルクが減少する特性は、自動車の動力として理にかなった特性で、モーターの使用回転域(減速機と組み合わせるかたち)で車両の要求速度域をカバーできる状況では、変速機が不要となる。

 電気モーターの持つ可能性がどの程度なのか、究極とは言わないが、相当なレベルにまで追い求めたリーフ・ニスモRCの加速感は、すさまじいのひと言に尽きるものだった。そして、静音にしてスムース。アクセルを踏み込んだ瞬間、巨人に蹴り出されたような感覚で一気に加速する。直線区間が短く、フルアクセルに出来る時間はほんの2〜3秒程度だったが、目視による距離感と加速による距離感が一致しなかった。あまりに加速力がすさまじく、時間の経過と目標とした地点への到達タイミングが、大きくズレてしまった。

 あまりの強烈さに、リーフ・ニスモRCの加速性能を調べてみたのが、なんと0-100km加速は3.4秒だという。0-100kmが3秒台前半という加速性能は、600〜700馬力級のスーバースポーツカーと同等のタイムだ。なんともはや、EV恐るべしである。

 電気モーターが持つ性能の高さは、もはや疑うべくもなく、好むと好まざるにかかわらず、早晩、自動車のパワーユニットが電動化するのは確実だ。ただ、自動車を趣味の領域から眺めたとき、内燃機関が持つメリハリのある反応を忘れることが出来るのだろうか、と疑問を抱いてしまうのも、また事実である。


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