日本人に「セダンは不人気」とは言い切れない! 着実に「売っている」メーカーとは (2/2ページ)

クルマ以外にも魅力があるからセダンでも売れる

 もっとも、こうした生涯顧客はドイツ製セダンの「性能」や「安全性」を統合した「ブランド」が生み出すものと考えがちですが、一方でディーラーやセールスマンのたゆまざるサービスも欠かせないファクター。笑顔のまぶしいセールスマンが、それこそ下にも置かないおもてなしをしてくれたら、クルマそのものの満足度もアップしてしまうのです。ウソだと思うなら、ヤナセやMBJのトップセールスマンと5分でいいから話してみましょう。いつの間にかポケットから印鑑だそうとしている自分に気づくはずです。

 当然、ドイツ製セダンが購入できる層は高級SUVにも手を出していますが、これはセカンドカーやファミリーユースといっていいでしょう。買い替え、というより買い足しなので、セダンを手放してまでSUVに乗り換えるというのはレアケースではないでしょうか。前述のトップセールスマンが、ある得意先をフルサイズSUVで訪問したところ、お客様が興味津々。さてはセダンから買い替えか、と頭の中で下取り計算をし始めると「駐車場に入るなら、それ置いてけ」とあっさり購入された、なんてエピソードもあるくらいですからね。

 ちなみに、ドイツのツートップ以外にもロールスロイスやベントレーといった高級セダンをリリースしているメーカーも売り上げを伸ばしていますが、こちらはズバリSUV人気でしょう。セダンについては(少量ながらも)新車が出るたびに無条件で購入している生涯顧客がいるので、浮き沈みは少ないようです。

 もちろん、国産セダンに生涯顧客がいないわけではありません。ドイツのツートップに迫らんとしているのが、ご存じレクサス。国産メーカーでセダンの売り上げが落ち込んでいない稀有な存在といえるでしょう。レクサスは2005年から国内販売を開始しているので生涯顧客の獲得時間がツートップより少ないだけ。ディーラーの雰囲気やセールスマンの出来の良さは抜群なので、ツートップに追いつくのも時間の問題といえるでしょう。

 とはいえ、メルセデス・ベンツ&BMWだってその場で足踏みをしているわけではありませんから、ここしばらくツートップ堅持という状況は変わらないことでしょう。それにしても、国産セダンがバブル期のように隆盛を取り戻してくれる日はいつになったら訪れてくれるのでしょうね。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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