いま「ギヤオイル」が手に入らない! 自動車ユーザーにダメージを与える供給不足の理由

この記事をまとめると

■さまざまな分野で半導体不足による支障が出ている

■いま深刻なのがギヤオイルの供給

■エンジンオイルなどと比べても不足が顕著な理由を解説する

クルマの生産が滞りアフターが犠牲になっている

 半導体不足で自動車の生産が滞ったり、食料品が値上げされるなど、さまざまな面で支障が出ている昨今。ニュースを目にしてもまたかという感じではあるが、最近非常に深刻なのがギヤオイルの供給だ。とにかくギヤオイルが不足していて、マニュアルミッション車にお乗りの方は注意していただきたいのだが、とにかくモノがない。ネット通販で見てみると軒並み入荷未定だったり、受注しているのでポチってみると、お詫びのメールが来たりする。

 同じオイルでもエンジンオイルは価格が上がっているとはいえ、入手困難になっていないことを不思議に思うかもしれない。まず大きな問題が、ギヤオイル用の添加剤がとくに不足しているということ。ご存じのようにオイルというのはベースオイルに加えて、大量の添加剤をプラスして作られるので、まずベースオイルが入手できても添加剤が手に入らないことには製品としてリリースできないのだ。

 そもそもギヤオイル用の添加剤の場合、作っているところが少ない上に、2021年初頭にアメリカを襲った寒波の影響をいまだに引きずっている。これらを受けて石油元売りが出荷を停止するという事態にもなっている。さらに市販品が不足している理由としては、できたものを生産ラインでのライン充填に回しているから。そうしないと、クルマを作ることができなくなってしまうので、アフターを犠牲にしてもそちらを優先しているのが現状。

 またギヤオイルと聞くと、今やMT車はほとんどないのでそれほど影響はないのでは? と思うかもしれないが、極圧剤を配合したギヤオイルは自動車だけではなく、さまざまな機械や産業に使われているため需要は大きい。また、純正基準の場合、要求される規格が厳密に決まっているので、仕入れ先を簡単に変えることができないことなどもある。

 さらに追い打ちを欠けるのが規格の変更で、エンジンオイルであったようにギヤオイルも低抵抗を目的として、低粘度化が進んでいる。そうなると添加剤も新たに専用のものを開発しなくてはならず、現状の混乱の中では対応が困難ということになってしまう。

 いずれにしても入手が難しくなっているため、シフトフィーリングのよさなどでお気に入リのオイルがあるなら、早めにストックしておいたほうがいいだろう。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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レストア、鉄道模型(9mmナロー)、パンクロック観賞
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