ディーラーに行っても名前すら書かされない! コロナ禍が新車販売現場を激変させた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■コロナ禍の新車販売を経験したことで販売現場でも売り方が変わってきたように見える

■店頭イベントが実施できず、新しい客の獲得はオンラインに頼らざるをえない状況だ

■新車販売現場も細かいところではニューノーマルへと移行してきている

経済活動の再開に向けて変わる新車販売現場

 いよいよ限定的とはいえ、6月10日より訪日外国人観光客の受け入れが再開される。当面は少人数の団体観光客のみとなるようなので、すぐにコロナ禍直前のように日本全国の観光地が外国人観光客でおおいに賑わうことはないだろうが、それでもスローペースながら、日本でも経済活動の本格再開が始まろうとしている。

 新車販売の世界はコロナ禍となってからも、当初の予想に反して深刻な販売台数の減少も一時的なものとなった。海外旅行や外食などができなくなったこともあって、そこに投じていたお金が新車購入へまわることにより、コロナ禍とはいえ意外なほど新車がよく売れたのだ。

 しかし、そのようなコロナ禍のなかでの新車販売を経験し、新車販売現場でも、目立ってはいないものの売り方が変わってきたように見える。

 まずは、週末の販売促進イベント開催の自粛がある。新型コロナウイルスの感染拡大が起こると、世の中が感染拡大を予防しようと動いているなか、「積極的に集客するのはいかがなものか」ということで、いままではより不特定多数の人の集客をはかるために発表展示会や大試乗会などと銘打ったイベントを週末に行っていのだが、それも自粛となった。

 ただ、そのような目立った販売促進イベントが実施できないなかでも、想定外に新車販売の落ち込みがなかったのは、販売促進活動のメインを既納客へシフトしたことがある。新車ディーラーは、新型コロナウイルス感染拡大が顕著な時期でも、デパートをはじめ、ほかの多くの小売店のように店を閉めることはなかった(時短営業は行った)。これは、新車を販売するだけでなく、法定点検や車両修理の窓口にもなっていたことが大きい。

 そのため、点検や修理のために既納客はコロナ禍でも店を訪れていた。そして、作業が終わるまで店頭で待っているので、その間に担当セールスマンが、「こんな新車が出ました」とか、「いまこのクルマが買い得ですよ」とか、雑談のなかでさりげなく新車への乗り換えをすすめることが平時より積極化されていった。

 富裕層を中心に、買い物するにもスーパー以外は満足に店が開いておらず、旅行などのレジャーや食事にも行けないなかで貯蓄だけが貯まる家庭も多くなっていたので、当初は新車に乗り換えるつもりが全然ない人でも、結果的に新車に乗り換えてくれるケースも目立ったそうである。

 コロナ禍のなか、チャンネルごとの専売車制度をなくし、正規ディーラーすべての店舗で全車種の販売をはじめたこともあり、コロナ禍となってからトヨタの国内販売での躍進ぶりが目立っているが、トヨタはもともと既納客の自社ブランド車種への乗り換え促進(トヨタ車からトヨタ車への乗り換え)を得意としていたところが大きく影響していたことは間違いないだろう。

「お願いモード」でなんとなく日本政府は新型コロナウイルス感染拡大防止のための規制を進めてきたので、「●月●日をもってマスク着用など新型コロナウイルス感染拡大防止の規制は全面撤廃します」と宣言もできないだろう。そのため、新車ディーラーでも、いつから週末の販促イベントをコロナ禍前のように積極的に開催し集客していっていいのか判断に迷うはずだ。業界団体が号令をかけるのもなんだか馴染まないので、やはり業界トップのトヨタの動向をトヨタ以外のメーカーが見守るという形になるだろうから、当分は様子見も手伝い、コロナ禍前のような週末イベントの復活はすぐには期待できないだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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