1.5リッター直3もあれば1.5リッターV12なんてのもある! クルマのエンジンのシリンダー数と排気量の奥深い関係とは (2/2ページ)

時代は軽量・コンパクト・高効率化に向かっている

 小型車では、2リッターがひとつの境界線となり、この排気量で4気筒と6気筒が併存するかたちとなっているが、6気筒、とくに直列6気筒は、振動のない滑らかで上質な回り方が重視され、フォーマルセダンで使われる例が多い。

 また、かつてバブル期にはコンパクトクォリティを謳って三菱が、ランサー/ミラージュ・セダン用に開発した6A10型1597ccV6エンジンの存在が目を引いた。コンパクトセダンとして上質な回り方を意図した開発だったが、高回転域の特性を上手く活用し140馬力の出力を発生していた。1シリンダーあたりの排気量は266ccである。現在では、エンジンサイズ、重量の点から、この排気量の量産車エンジンとしては絶対にあり得ないシリンダーレイアウトで、当時も世界最小の6気筒と呼ばれていた。

 量産車エンジンではないが、世界最小の12気筒という言い方では、かつてホンダが1.5リッターF1時代に開発したRA271E型1495ccV12エンジンの存在が希有な例だ。1シリンダー当たりの排気量は125cc。4輪メーカーなら及びもつかぬ発想だが、2輪メーカーだったホンダにとって、125ccは使い慣れたサイズ。

 さすがに重厚長大なエンジンになったが、マルチシリンダー化による1シリンダーのダウンサイジングにより、平均ピストン速度を稼ぐことができ、当時のレベルで1万2000回転/220馬力を絞り出していたという。間違いなく世界最小の12気筒エンジンだった。

 効率のよい過給機の開発、過給制御技術の飛躍的な進歩により、マルチシリンダー化による高速回転化、そこから得られる高出力の思考は過去のものとなっている。むしろ、部品点数が多く、エンジンサイズが大型化することで、現在求められている自動車の性能とは相反する部分も備えている。時代は軽量コンパクト、高効率で進んでいる。


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