身近じゃないドライバーには結構恐怖の路面電車! 意外と知らない「併用軌道」のルールとは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■「併用軌道」は路面電車の線路を指す

■道路交通法では軌道通行禁止が大原則

■観光や転居の際は自治体のHPを見ておくと良い

「併用軌道」は路面電車の線路を指す

 先日、北海道・札幌において「併用軌道」に駐車したドライバーが監視カメラの映像を元に検挙されたというニュースがあった。現行犯ではなく、ドライバーを特定してまで検挙するということは、併用軌道への違法駐車というのはそれだけ悪質な行為というわけだが、はたして併用軌道とは何のことで、なぜ軌道内への駐車が厳禁なのだろうか。

「併用軌道」という四字熟語では、どんなものかイメージしづらいが、そもそも「軌道」というのは、いわゆる2本のレールが敷かれた線路のこと。併用というのは何かと共存していることが想像できるだろうが、要は路面電車の線路を「併用軌道」と呼んでいる。

 仮に路面電車が走っていなくとも、線路上に違法駐車をすれば電車の運行を妨げることは自明で、併用軌道に駐車することはもとより、線路上を走るという行為がNGなのは想像できると思う。

 では、路面電車が走っているような道路で、ドライバーはどのように振る舞えばいいのだろうか。基本的なことは道路交通法の第二十一条と第三十一条に記されている。

第二十一条 車両(トロリーバスを除く。以下この条及び次条第一項において同じ)は、左折し、右折し、横断し、若しくは転回するため軌道敷を横切る場合又は危険防止のためやむを得ない場合を除き、軌道敷内を通行してはならない。

2 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、軌道敷内を通行することができる。この場合において、車両は、路面電車の通行を妨げてはならない。

一 当該道路の左側部分から軌道敷を除いた部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。

二 当該車両が、道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分から軌道敷を除いた部分を通行することができないとき。

三 道路標識等により軌道敷内を通行することができることとされている自動車が通行するとき。

3 軌道敷内を通行する車両は、後方から路面電車が接近してきたときは、当該路面電車の正常な運行に支障を及ぽさないように、すみやかに軌道敷外に出るか、又は当該路面電車から必要な距離を保つようにしなければならない。
(罰則 第百二十一条第一項第五号〔二万円以下の罰金又は科料〕)

第三十一条 車両は、乗客の乗降のため停車中の路面電車に追いついたときは、当該路面電車の乗客が乗降を終わり、又は当該路面電車から降りた者で当該車両の前方において当該路面電車の左側を横断し、若しくは横断しようとしているものがいなくなるまで、当該路面電車の後方で停止しなければならない。ただし、路面電車に乗降する者の安全を図るため設けられた安全地帯があるとき、又は当該路面電車に乗降する者がいない場合において当該路面電車の左側に当該路面電車から一・五メートル以上の間隔を保つことができるときは、徐行して当該路面電車の左側を通過することができる。
(罰則 第百十九条第一項第二号の二〔三月以下の懲役又は五万円以下の罰金〕)

 第二十一条では、一般の車両は原則的に併用軌道内に進入することを禁じている。

 例外として、危険回避でやむを得ないとき、工事や災害などで道路が狭くなっていて軌道に入らざるを得ないとき、道路標識によって通行が認められている場合を挙げている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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