マセラティ初のMRスーパーカー! シトロエンの「血」が入ったボーラとは (2/2ページ)

ジウジアーロによる流麗なフォルムを持つボーラ

 マセラティは、過去に「SM」のエンジン開発で提携関係にあったシトロエンから新たに資本の提供を受け、「ボーラ」を1971年のジュネーブショーで発表。

 その流麗なボディは、イタルデザインのジウジアーロによって描かれたもので、いわゆるスーパースポーツらしい過激さこそないものの、ボディ全体を見れば、そのフロントのボンネットラインなど、美しさには改めて感動させられる。一方、そのCd値も0.30と当時としてはきわめて優秀。美と機能の両立は、完全にこのボーラでは成り立っていたのだ。

 インテリアのフィニッシュも同様に高級感に溢れている。内装はもちろん高級な本革をメインマテリアルとしたもので、ステンレス製のルーフもまたその高級感を高めるために大きく貢献している。ステアリングホイールの奥に見えるメーター類の視認性も極めて良好だ。

 そして、このボーラが、そのメカニズムでもっとも大きな特徴としていたのは、シトロエンの高圧LMH油圧システムをそのまま受け継いでいることだろう。それはベンチレーテッドディスクブレーキのメインサーキットを始め、ペダル類の補助サーキット、ドライバーズシートの垂直調整、リトラクタブル式ヘッドライトの上下などに使われた。ただし、現在ではそのシステムをすべてオリジナルのまま残しているモデルは珍しい部類に入る。

 大きなグラスエリアを持つリヤカウルの下には、4.7リッター、もしくは4.9リッターの排気量が設定されたV型8気筒DOHCエンジンが搭載された。

 最高出力は各々310馬力、320馬力と大きな差はなかったが、後者のほうが高トルクで5速MTとの組み合わせでの扱いやすさも良好であったこと、そして排出ガス規制への対応ため、1973年モデル以降は4.9リッター仕様のみに販売は集中された。生産台数は4.7リッター仕様が289台、4.9リッター仕様は275台の、合計564台とされている。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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