深刻な納期遅延でこれまでのセールス手法が通用しない! 新車販売現場はいま「昭和感」のある売り方が大切だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■いま新車の納期遅延が販売現場の混乱を招いている

■客足も減っているため、セールスマンは積極的にならざるを得ない

■現在の状況、顧客の特性から求められるクルマの売り方について解説する

待っていても「新車が欲しい」という人は現れない

 深刻な納期遅延で新車の販売現場が混乱しているのはもはや周知の事実。世の中で「新車を買ったがいつまで経っても納車されない」ということが広く知れ渡っている。以前は、納車が遅れているものの、受注ベースでは新車販売はそれほど悪影響を受けていないとも言えたのだが、最近は受注ベースでも悪影響が目立ってきている。

 こうなると、「新車が欲しい」というお客を待っていてもなかなか現れない。そこで、セールスマンの腕の見せどころとも言えるのだが、そもそも新車購入を検討していない得意客へ新車購入の販売促進を行うことになる。過去に販売した得意客のなかから、アプローチ次第では話に乗ってくれそうなお客をピックアップし、定期点検などで店舗を訪れた際に、「いまなら条件も魅力的ですよ」などと新車への乗り換えを勧めるのである。もちろん相手を見ての話となるが、時にはまだ新車と言える納車後1年ほどのクルマに乗っているお客へも“脈あり”と見たら積極的に売り込むこともある。買う側からすれば何やら理不尽にも思えるが、このような“無茶ぶり”の利く得意客をどれぐらい持っているかが、セールスマンのキャリアを左右するといってもいいだろう。

 もちろん、いやいや新車へ乗り換えさせたり、詐欺まがいに乗り換えを勧めるのはご法度。「●●さん(セールスマン)がいうんだったら……」と、“あうんの呼吸”で応じてもらえるのが大前提となっているのはいうまでもない。そもそも新車へ乗り換える気がなかったのだから、納車まで長期間待つとしても、それがトラブル因子になることも少ないのである。

 筆者が小学生のころは、まだ原則扱う製品のメーカーが決まっていた“街の電気屋さん”というのが多くあった(いまどきの新車ディーラーのようなもの)。筆者のところにも某メーカー系の電気屋さんが出入りしていた。しかもその電気屋さんは、「いまテレビが買い得ですよ」などと家にやってくるのだが、そのほとんどがモデルチェンジ前の末期モデルであった(いわゆる在庫処分)。父親もそれは承知していたようだが、電気屋さんが気に入っていたようでそこから筆者の見た感じでは“言われるがまま”買っていた。その電気屋さんは我が家にくるたびに、たとえば“電子レンジがない”とか、“テレビが古い”など状況を把握し、的確に売り込んできたのである。

 ある時、その電気屋さんが扱う製品のメーカーを変えたのだが、父親はそのままそこから買っていた。いまどきの、とくに若い世代のひとから見れば、“そんなのありえない”という“買い物スタイル”になるだろうが、「これなら、あそこの家に売れる」と売り込みに行くようなスタイル、つまり改良前の末期モデルでも自分の“顔で売る”というのが、かつては新車だけではなく日本のモノを売るスタイルの代表であったといってもいいだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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