ホンダ新型「ステップワゴン」の進化とは? 走行性の高さや上級モデルについても解説 (1/2ページ)

新型「ステップワゴン」が発売開始

 発売から約1ヶ月で月間販売計画の5倍以上となる2万7000台の受注を得た新型ステップワゴン。ハイブリッド仕様が約7割、最上級グレード「SPADA PREMIUM LINE」が一番人気となっているようですが、まずは好調な立ち上がりとなりました。

 ただ、ホンダが想定している以上に好調な販売となったことは、なにかしらの理由があるはず。

 新型ステップワゴンとはどういうクルマなのか、またどんな魅力を備えているのかを詳しく見ていきましょう。

ステップワゴンとは?

 初代ステップワゴンが登場したのは1996年。その当時、多人数乗車が可能なワンボックスワゴンはキャブオーバータイプが多かった中、FF乗用車プラットフォームを用いたミニバンに仕立てたことで大きな話題を集めました。

 オデッセイ、CR-Vに続く、当時ホンダが展開していたクリエーティブムーバの第3弾としてデビューしたステップワゴンは販売的にも大ヒットを記録。FFレイアウトを採用したことによる広い室内空間や乗用車的な乗り心地、またCM展開の上手さによりミニバンブームを巻き起こしたのです。

 その後、トヨタ・ノア/ヴォクシー、日産セレナなどライバルひしめく国産Mクラスミニバンで人気を保ちつつモデルチェンジを繰り返し、6代目となる現行モデルが2022年に登場しました。

新型「ステップワゴン」の特徴

 歴代モデル同様、現行モデルはFFレイアウトを採用し室内空間が優れたMクラスミニバンとして開発されました。その特徴を詳しく見ていきましょう。

その1:室内空間が快適

 歴代ステップワゴンの特徴といえば室内の広さ。新型も「広く快適に過ごせる室内空間の確保」を構築することを目指して開発されました。

 1列目シートから3列目シート間(ヒップポイント)は1831mmと国産Mクラスミニバンの中では最長。とくに3列目シートの快適性が大きく上がっており、先代モデルより着座面を高くしてシートクッションの厚みも増しています。

 また、7人乗り2列目キャプテンシートは前後だけでなく左右スライド機能も装備。左右シートを中央に寄せるとふたり掛けベンチシートに、内側に寄せると最大865mmの前後ロングスライドが可能となるなど、自由自在なシートアレンジができるのも新型の特徴といえるでしょう。

その2:大きな車体でも運転しやすい

 新型は先代モデルと比べ全長が+35mm、全幅が+55mm拡大されました。ただ、最小回転半径は5.4mにおさえられているなど、運転のしやすさにもこだわっています。

 Aピラーを後方に下げボンネットの前端を高くすることでボディを視認しやすくし、ベルトラインを高くしたことで三角窓との段差を解消。運転時の車両感覚や車体位置を把握しやすい工夫がなされています。

 また、ウインドウの見切り線をAピラーまで真っ直ぐに通して水平に近づけたことなど、視界が広くなったことで車体が大きさを感じさせないほど運転がしやすくなりました。

その3:やさしい雰囲気の外観

 先代モデルをはじめ、ここ数世代から大きく変化したのがエクステリアデザインです。現行モデルは初代に回帰したかのようなシンプルでプレーンなデザインを採用。スクエアで“カタマリ感”がある外観は「躍動感」や「イカツさ」を重視したミニバンが多い中、新鮮さを感じます。

 標準仕様の「AIR」は小さめのフロントグリルを備えるなど安心感を与えるフォルムに。精悍な見た目にこだわった「SPADA」もギラギラした印象は薄くセンスの良さを感じるスタイルを採用しました。

その4:2タイプのパワートレイン

 新型のパワートレインは先代同様、ハイブリッド仕様“e:HEV”と1.5リッターターボエンジンの2タイプ。ただ、どちらのユニットも先代モデルから大きく進化しています。

 “e:HEV”はアコードにも搭載されている新世代ハイブリッドシステム。モーターによる駆動がメインで、高速域や低負荷領域はエンジンが駆動を行います。

 1.5リッターターボエンジンは11代目シビックに搭載されているものをベースにミニバン向けにチューニングが施されました。エキゾーストマニホールドを4-1から4-2に変更し、効率改善を行ったことなどでレスポンスも向上しています。

 ふたつのパワーユニットともに低回転時でもトルクフルな走りを実現し、街中での走行から高速走行までスムーズな走りを実現していることが特徴といえるでしょう。

その5:高い走行性

 元々、スポーティな走りの印象だったステップワゴン。反面、乗り心地の良さがイマイチ、と感じるユーザーも少なくなかったようです。

 新型は、従来硬めだった低速域での乗り心地がかなりしなやかになり快適性が増しました。ただ、高速道路での走行などは足まわりがしっかりとしており、かつ上質な乗り心地も備えました。コーナリング性能も先代より向上し、安心してコーナーを走行することができます。

 プラットフォームは先代から引き継いでいますが、サイドシル断面を拡大したアンダーボディや前後サスペンションなどの改良により、乗り心地やボディ強度を増したことがその要因といえるでしょう。

その6:燃費

 新型に用意されたふたつのパワートレインの燃費性能を比較していきましょう。

 まず1.5リッターターボエンジンから。最高出力150馬力を発揮するこのエンジンは、WLTCモード燃費が13.9km/L、同市街地モードが10.6km/L、同郊外モードが14.6km/L、同高速道路モードが15.7km/Lを誇ります。

 一方、システムトータル329馬力を誇るハイブリッド仕様“e:HEV”のWLTCモード燃費は19.6〜20.0km/L、同市街地モードが19.3〜20.4km/L、同郊外モードが20.5〜21.3km/L、同高速道路モードが19.1〜19.2km/L。

 すべての仕様が「2030年度燃費基準」に対応し、“e:HEV”は「平成30年排出ガス基準75%低減レベル」をクリアしました。

その7:充実した安全システム

 新型にはホンダ自慢の先進安全支援システム「ホンダ・センシング」が標準装備されています。

 ミリ波レーダーと単眼カメラ、ソナーセンサーにより、車両や人、障害物を探知し運転を支援するこのシステムは、「衝突軽減ブレーキ」「後方誤発進抑制機能」「歩行者事故低減ステアリング」「渋滞追従機能付きACC」など、ユーザーが欲しい先進安全システムがてんこ盛り。

 国産Mクラスミニバンにおいて最高レベルの先進安全装備が備わっています。


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