トヨタとスバルに敬礼! 改めて見たら「86&BRZ」の功績が偉大すぎた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■初代86と初代BRZが残した功績と影響を考察

■FRスポーツという特殊なパッケージングからしたら大ヒットしたモデルと言える

■両車の存在によってレース業界やアスターパーツ業界なども盛り上がった

86&BRZが業界に残した功績を振り返ってみた

 先日10周年記念特別仕様車が発表されたGR86/BRZ

 スポーツカー冬の時代とも言えた2012年にトヨタとスバルのタッグで登場したFRスポーツは、2021年に現行型へとフルモデルチェンジ。キープコンセプトを保ちながらも、より速く、より魅力的なスポーツカーへと進化した。そんな86/BRZの10年の歩みを振り返り、このFRスポーツがクルマ業界にもたらした功績をまとめてみた。

スポーツカー冬の時代に大きなチャレンジ

 今でこそ国産スポーツカーは比較的選択肢があると言える状況だが、86/BRZが登場した2012年当時はそこまで多くの国産スポーツカーはラインアップされていなかった。2000年代初頭までは、普通車をメインとする国産自動車メーカーは、何かしらのスポーツモデルをラインアップしていたが、既にスポーツモデルがラインアップから姿を消してしばらく経過していたというメーカーもあったし、トヨタとしても2007年に生産終了したMR-S以来のスポーツカーであった。

 日産のGT-Rやマツダのロードスターのように、固定のファンがいるスポーツカーならまだしも、当時新規車種でスポーツカーを造るということは、商業的な失敗を恐れて誰も手を付けられない状況だったとも言えよう。そんな状況のなかで登場した86/BRZは、クルマ好きから大いに賞賛されていたのを覚えている。しかし、クルマ好きが賞賛しただけではビジネスとしては成り立たない。実際86/BRZは「ビジネス」としてはどうだったのだろうか?

合計で約10万台を販売

 BRZは2012年3月28日、86は同年4月6日とほぼ同タイミングでの販売開始となった。当初目標とされていた月販台数はBRZが450台、86が1000台であった。

 しかし、蓋を開けてみればBRZは発表から2カ月で目標の4倍となる3551台。86は1カ月で7倍となる約7000台を受注した。このことから、両車は順調な滑り出しを見せたと言えるだろう。しかし、目標以上の受注が入るのは新型車ではあるあるな話。ビジネスとして重要なのはコンスタントに販売台数をキープできたかということだ。86/BRZの年間販売台数実績は以下のとおり。

86
2012年:22,510台
2013年:12,400台
2014年:8,190台
2015年:6,690台
2016年:6,570台
2017年:7,170台
2018年:4,950台
2019年:4,630台
2020年:3,940台
2021年:1,620台
計78,670台

  

BRZ
2012年:4,831台
2013年:4,784台
2014年:2,826台
2015年:2,043台
2016年:2,096台
2017年:2,097台
2018年:1,635台
2019年:1,291台
2020年:998台
2021年:6台
計22,607台

 両車共に最初2年は大幅に売れているが、これは新車効果というところが大きいだろう。また、2020年以降は台数が少なくなっているが、これは次期モデル登場の噂と期待が市場にあったためと思われる。そういった事情を除けば、86は年間でおおよそ5000~6000台、BRZは1500~2000台程度が売れているということだ。両車の販売台数の差は販売店の数の差などがあるため、一概には言えないものの、スポーツカーで年間5000台、2車種合計で7000台という台数は大健闘と言えるはず。

 また驚かされるのが若い世代の購入比率の高さだ。30代以下の購入比率は86が35%、BRZに至っては48.22%となっているのだ。しかし、もっとも評価すべき点は合計で10万台以上のFRスポーツが新たに市場に出たというところだろう。それだけの数が出ればアフターパーツの開発も各パーツメーカーが力を入れて取り組むし、中古車のタマ数もこなれて、段々と手に入れやすい値段となってくる。10万台も売れてくれたおかげで、中古相場の高騰傾向にあったFRスポーツが、比較的安価に遊べる素材となったのだ。


西川昇吾 NISHIKAWA SHOGO

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愛車
マツダ・ロードスター(NB8C後期型)/ボルボV40 T4
趣味
スポーツ走行、写真撮影、ネットラジオ鑑賞
好きな有名人
織田裕二、駒形友梨

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