クルマを駐車したあとに発見した「虹色のシミ」! 見逃し厳禁のその正体とは?

この記事をまとめると

■エンジンやミッションからオイルが漏れることがある

■オイルが地面に薄く広がると虹色に見える

■虹色になる理由や、オイル漏れに気付いたらすべきことを解説する

虹のように見えるのはオイルがうっすらと広がったときのみ

 エンジンやミッションから漏れ出た(垂れた)オイルが、地面で虹色に輝いている状態を見たことはないだろうか? 逆の言い方をすれば、停めておいたクルマを移動したらその後にシミができていて、それが虹色に輝いて見えた、ということである。

 地面に漏れ落ちたオイルが原因だが、虹のように見える状態は、オイルがうっすらと広がったときのみである。どういうことかというと、薄い膜の表と裏からの光の反射が相互に干渉し、光(赤、橙、黄。緑、青、藍、紫)の波長を分け、虹色に輝いているのだが、このオイル膜の厚みはごく薄い状態、400〜700nm(ナノメートル)あたりの厚みでしか見えないという。

 新車を購入し、車検1、2回程度で車両を入れ替えている人にはほとんど関係ない話だが、1台のクルマを長い期間所有したり、あるいは今ブームとなっている旧車オーナーの人には、この虹色のシミは、見落とせない愛車の健康バロメーターである。オイルシール、パッキン、ガスケットといったパーツは、長期間の使用で必ず劣化する。密封が不完全な状態となり、傷んだ個所からオイルが漏れを起こすことになる。

 ほとんどの場合、こうしたオイル漏れは、漏れ出ている個所からパーツの下端まで伝わって流れ、そこから地面に滴下するパターンだが、漏れ出る量はほんのわずかで、1滴、2滴が路面に落下することで、こうした虹色のシミを作り出すことになる。

 クルマが新しいうちは、こうしたトラブルはほとんどなく、オーナーがオイル漏れに気を配る必要もないが、車歴が長く走行距離の多いクルマでは、オイル漏れは気に掛けておきたいトラブルのひとつだ。オイル漏れを発見するには、定期的にリフトアップして車体フロアをチェックするのがいちばん確実だが、長時間の駐車後に、自分のクルマを停めておいた下の地面を見てみるのもひとつの方法だ。しかし、この方法、簡単そうで注意していないとなかなか実行できない確認方法でもある。

 運転免許を取る際、学科で「始業前点検」という言葉が出てきたことを覚えているだろうか。クルマを動かす際、運転前にクルマをひとまわりして異常がないか確かめなさい、というドライバーに課せられた義務である。車体に異常がないかを確かめるためで、タイヤのエア抜けなどの発見に効果はあるが、オイル漏れの確認には不向きである。

 何かが漏れていれば、地面に痕跡を残すことになるが、身体をかがめて車体の下まで確かめることはなかなかしないだろう。車体のまわりを確認したとしても、それで異常がなければそのままクルマに乗り込み、走り出してしまうのが一般的だ。クルマを少し移動し、停めてあった地面の状態を確認する人は、まずいないだろう。

 しかし、自分の駐車場なら少し事情は異なってくる。クルマを停めていない状態でも地面(路面、床面)の確認をする機会があるからだ。とくに、車歴の長いクルマや走行距離の多いクルマのオーナーなら、意識的に地面を確認する習慣のある人も少なくない。

 路面にオイルが滲んだシミ、虹色の広がりを発見したら、オイル漏れを疑いクルマのチェックをしてみよう。また、オイルシミの位置で、車体側の漏れ位置(滴下位置)に見当をつけることもできる。漏れたオイル(この場合はごく少量)は、ペーパータオルやウエスで拭き取ればOKだが、油分を完全に取り除こうとしたら、油汚れクリーナーなどで油分を中和してから洗い流す、拭き取るといった作業をすればよい。

 オイル漏れ(エンジン、ミッション、デフ等)の確認は、クルマの健康状態をチェックする上で重要な意味を持つ。新しいクルマには無縁だが、車歴の長いクルマ、走行距離の多いクルマでは必要不可欠な作業と考えておこう。


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