走るだけでEVが充電できる道路! 運転席に座る必要のない自動運転車! 技術はあるというけどなかなか実用化されない理由と課題 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■技術の進歩によってさまざまな便利な機能が開発されている

■その一方で、技術的にはクリアできていてもなかなか実用化できない機能もある

■最先端技術の実用化には、法律やインフラの整備など解決すべき課題も多い

海外では実用化されているのに日本には導入できないジレンマ

 21世紀に入って22年が経った。この間、スマートフォンなどを含め、情報通信の進化と環境やエネルギーの課題、また事故ゼロを目指すさらなる安全の向上などの期待とともに、先進技術の開発が続けられている。だが、同時に、なかなか実用化しないと、じれったさを覚えるところもあるだろう。

 メルセデス・ベンツは、4年ほど前に、運転者への情報提供のひとつとして、路面にインフォメーションを映し出す技術を公開した。デジタルライトと呼ばれる照明技術のひとつだ。

 前方の障害物や危険な状況を察知したあと、それを運転者に知らせるうえで、遠くを見ている運転者の目線や、遠近の焦点を合わせる時間差などを含め、メーターやヘッドアップディスプレイなどに比べて視認性が高まると期待された。

 本国ドイツでは、Sクラスやマイバッハに搭載され、実用化もされている。だが、日本国内では法規制の違いなどで、路面照明機能を持たないデジタルヘッドライトの装備となっている。したがって、国内で路面照明を体験することはできない。

 自動運転は、高齢化社会の到来とともに多くの期待を集めている。そして、実証実験も継続されているが、完全に実用化したクルマの市販までには至っていない。

 とはいえ、日産スカイラインに搭載されたプロパイロット2.0では、ハンドルから手を放しての走行が高速道路など限定された道路で利用できるようになった。ホンダ・レジェンドには、レベル3の運転支援が車載され、やはり限定された走行条件下ではハンズフリーの走行ができる。このように、自動化の一部を体感させ、効果を実感できる技術はすでに市販されている。

 自動運転を完全なかたちで実用化するには、万一の突発事態に際し、瞬時にそれを検知し判断し操作を実行するためのセンサー技術の進展が求められている。逆に、日常的な走行については、ある程度現在の運転支援技術の延長で実用化が可能だろう。その一端が、ハンズフリーやACCとなって実現している。

 つまり、課題は緊急事態への迅速な対処と的確な判断がどこまで素早くできるかにかかっている。

 加えて、運転という行為を定義する法整備や、運転手のいないクルマが走ってきても平然としていられる人々の心理的不安の解消も必要になってくる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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