カワイくて器量良しってもはや無敵じゃないか! 販売1カ月で目標の4倍売れたムーヴキャンバスの人気の秘密 (2/2ページ)

加速性能も静粛性もひとつクラス上をいくターボモデル

 そんな新型ムーヴキャンバスは走っても絶大なる進化を見ることができる。まず、NAエンジンモデルの走りだが、すっきりとした前方、斜め前方視界が得られるとともに、52馬力、6.1kg-mのNAエンジンはじつに静かでスムースに加速を開始する。日常域、平坦路なら加速性能に不満はなく、速度を増していっても爽快にスイスイと走ることができるのだ。パワーステアリングは低速域ではじつに軽々したタッチ、操作性を示し、扱いやすさはメインターゲットであるはずの女性にピッタリである。もっとも、約30km/hも出れば、パワーステアリングは適度な重さ、しっかりとした手応えを示すようになるから安心だ。

 もっとも、上り坂ではスライドドアを備えたボディの重さ×NAエンジンゆえの力不足を感じるシーンもある。が、エンジンを4000回転までまわしても耳障りなノイズが抑えられているのが幸いで、急な坂道や山道の登坂路でない限り、動力性能に関するストレスは感じにくいと思える。そして、車内の静粛性に関しても優秀で、全域で直接的ライバルのスズキ・ワゴンRスマイル(現時点でNAエンジンのみ)より静かなのである。

 乗り心地はさすがDNGA。しっかりとしたボディの剛性感に支えられた、先代より硬めのタッチを示すものの、交差点やカーブでも車体の姿勢変化、ロール(傾き)は体感的に最小限。路面に左右されない快適な乗り心地が身の上だ。そうした乗り心地の上質感を高めてくれるのが、前席のかけ心地。シートバックの絶妙なフィット感、サポート性が功を奏していると思える。

 一方、ストライプス、セオリーともに用意されるGターボモデルともなれば、その走りには文句の付けようがない。走り出しから一段とトルキーかつスムースなのは当然として、市街地、郊外路を含め、エンジンはNAモデルより低回転で済むため、車内の静かさでもNAモデルを上まわる。NAモデルで加速性能に不足を感じる登坂路でも、余裕しゃくしゃくである。

 CVTのラバーバンド感(エンジン回転だけが先行する感覚)のなさ、ターボ特有のノイズのなさもあって、1.2リッター級の動力性能をじつにスムースに、自然に発揮してくれるのだから素晴らしい。

 乗り心地に関しては、足まわり、タイヤサイズなど、NAモデルと同一のはずのターボモデルだが、乗り心地に関しては、ずばりターボモデルのほうが好ましく感じられた。具体的には、NAモデルで感じられた乗り心地の硬さが和らぎ、よりしっとりしなやかでフラットな乗り心地、上質なフットワークテイストを味わせてくれるのだ。理由はおそらくターボモデルのほうが20kg重く、タイヤの銘柄が異なるからだと”勝手に”推測する。

 というように、相変わらずのストライプスのオシャレぶり、セオリーの上質感、そして使い勝手、装備、先進運転支援機能の充実度、運転のしやすさ、走りの良さ……といったあらゆる項目で進化し、軽自動車をリードする実力さえ備えているのだから、商品力の高さもまた文句なしといえるのだ。

 エクステリアを見ただけで興味津々、運転席に座っただけで大満足(とくにストライプス)、装備など詳しい話を知って納得・安心、走って感動……そんな新型ムーヴキャンバスだから、間違いなく先代以上の成功が約束された1台となるに違いない。お薦めは依然としてキャラの立つ、映えるストライプスですけどね……。セオリーはモノトーンとともに、大人っぽいルーフのみ塗り分けのツートーンがあるといいかも(開発陣に進言済み)。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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