タントファンクロスとスペーシア ベース登場で激戦区に! アウトドア系のハイト軽4台を徹底比較した (2/2ページ)

どれを買っても後悔なし! 各車それぞれが個性の塊だった

 ここで、各車の特徴点を挙げれば、タントファンクロスは、タントではOPとなるルーフ―ルを標準装備とし、シート表皮もタントとは違うカモフラ柄の撥水生地となり、シートバック背面にまで防水加工が施されている。さらに荷室の天井とデッキサイド部分にLED照明を追加。後席部分にタントにないUSBソケットを用意し、LEDランタンの充電が可能となるなど、機能、装備をアウトドアユースに特化しているのである。逆に言えば、デザインと上記の追加装備以外の基本部分はタントに準じている。

 スペーシア ギアは、スペーシアのクロスオーバー”風”モデルというのがその実態だ。ただし、標準スペーシアに対して、撥水シート地、ルーフレールなどを標準装備するほか、スペーシアにない、アウトドアで映えるボディカラーを用意しているのが特徴だ。さらに、アウトドアとは直接関係ないが、エコクールという蓄冷式エアコンを完備。アイドリングストップ中でも一定時間、冷風が出てくるため、夏のドライブでの快適性は1枚上手と言っていいかも知れない。

 eKクロススペースは日産でいうところの先進運転支援機能のプロパイロットと同じマイパイロットを用意。撥水シートはもちろん、さすが、三菱で、悪路の下り坂などで威力を発揮するヒルディセントコントロールを完備。走破性という点では一歩リードしていると言っていい。また、プレミアムグレードの内装の豪華さ、質感の高さも大きな魅力となる。

 スペーシア ベースは軽商用車だが、その実態はスペーシアとスペーシア ギア、MC前のスペーシア カスタムのいいとこ取りをしたような1台で、走行性能はほぼ乗用軽のスペーシアそのもの。とくにMC前のスペーシア カスタムと同じフロントグリル、そしてフォグランプベゼル、ドアミラー、ドアアウターハンドル、リヤガーニッシュ、アルミホイール(XFグレード)がブラックパール仕上げになっているあたりのこだわりある精悍さは見どころ。

 インテリアでは、フロントシートがスペーシアのセミベンチシートからセパレートシートに改められているほか、後席は軽商用車お約束の簡易ベンチシートとなるものの、スペーシアにあるスリムサーキュレーター部分はオーバーヘッドシェルフ(XFグレード)として、Cピラーの内側はリヤクォーターポケットとして活用されているギヤ感、移動する秘密基地感が秀逸。

 さらに大容量ラゲッジスペースには上/中/下段にセットできるだけでなく、縦にもセットできてキャビンとラゲッジルームを仕切れるマルチボードが標準装備! されるのだ。また、オプションではあるものの、AC100V/1500W外部電源コンセントまで用意されてるのだから、アウトドア、移動する秘密基地感覚は文句なしと言っていい。

 こうしたキャラクターのクルマゆえに、アウトドアに出かけるために長距離ドライブの機会も増えるはずだが、となると経済性にかかわる燃費性能も気になるところ。FF、NAモデルの数値は、タントファンクロス21.9km/L。スペーシアギア21.2km/L。ekクロススペース20.9km/L。スペーシア ベースは軽商用車NO.1の21.2km/Lと大きな差はない(すべてWLTCモード)。ちなみにスペーシア ベースでエアコンON、2名乗車、荷物満載で、約350km、高速70%、一般道30%を走行したときの実燃費は極めて優秀な20.3km/Lだった。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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