新型プリウスはもう燃費最優先のエコカーじゃない! 「色」と「デザイン」に隠れたトヨタが本気で目指す「愛車道」 (2/2ページ)

2つの新色「アッシュ」と「マスタード」を用意

 そしてカラーといえば、新型プリウスには2つの新色が用意される。

 それが「アッシュ」と「マスタード」だ。

 この名称は通称ではなく、トヨタとしての正式名称なのだという。従来であれば「●●パール」だとか「▲▲メタリック」、「■■マイカ」といった名前を付けることが多かったが、もっとシンプルかつダイレクトにボディカラーの狙いを表現する名前となっている。

 たかがカラー名称と思うかもしれないが、これまでの型を壊すようなネーミングということからも新型プリウスが、新しいフェイズでデザインされてきたことが伝わってくる。

 具体的には「アッシュ」はソリッドグレーの新表現。一見するとベタッとした色に感じるかもしれないが、マイカを加えることで光を受けて、深みのある表情を見せてくれる新色となっている。

 もうひとつの「マスタード」は、スポーティを前面に押し出すイエロー・メタリックだ。発表会は室内だったため太陽光での印象は不明だが、膨張しがちなイエローを、わずかにブラックを混ぜることで彩度を抑え、ハイライトを強調する色となっているという。

 いずれにしても、この新しい色には樹脂素材色のフェンダートリムではなく、プレシャスブラックパールのトリムが似合うことは間違いない。

 そうした感想を伝えたときのデザイナー氏のうなずき具合からは、プレシャスブラックパールのフェンダートリムは上級グレードの専用装備となり、アッシュやマスタードといった新色も上級グレードで推しの色となっているようだ。

 それにしても従来モデルからフロントオーバーハングを25mm伸ばし、リヤオーバーハングを50mmも縮めたシルエットは、ロングノーズ感を強調するもの。スポーツカーらしいプロポーションにつながっていることはいうまでもない。

 さらに全高は1430mmと従来モデルから40mmも低くなった。かつてプリウスといえば空力優先で後席の居住性を犠牲にしたことが指摘された世代もあった。

 しかし、そうした心配は新型プリウスでは無用だ。全高を下げたのに合わせて、着座位置も前後ともに下げている。実際、発表会場で座ってみたが後席のヘッドクリアランスは十分に確保されていた。

 ホイールベースを50mm伸ばして2750mmとした効果で、前後席の距離は936mmと従来モデルより8mm伸びているため圧迫感もまったくない。特筆すべきは乗降性で、現代的な基準でいえばスポーツカーのような座面高でありながら、シートが低すぎて乗り降りしづらいという印象はなかった。

 新型プリウスをハイブリッドスポーツカーとして捉え、走りを楽しむための相棒として選んだユーザーが、後席に乗せるパートナーやファミリーからクレームを受けることはなさそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報