BEV化が急速に進むタイに押し寄せる中国メーカー! 普及にブレーキがかかりそうな要素も見え隠れする危うい戦略 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■第45回バンコク国際モーターショーでは中国系メーカーの出展が多かった

■満を持してXPENGとZEEKRも進出しており、今後は2社のBEVの普及が進む可能性が高い

■中国メーカーのタイ市場への進出によりタイのBEV事情は混迷の時代に突入していくかもしれない

急速に進むタイ市場における中国企業のBEV戦略

 2024年3月末から4月上旬にかけ、タイの首都バンコク近郊で開催された「第45回バンコク国際モーターショー」では、中国メーカーの出展が目立った。そのなかでも新規出展ブランドで話題となったのが、中国新興BEV(バッテリー電気自動車)ブランド御三家のひとつともされるXPENG(小鵬汽車)と、吉利汽車のNEV(新能源車/新エネルギー車)ブランドとなるZEEKRであった。

 満を持してともいえるXPENGとZEEKRの進出。ZEEKRブランドを展開する吉利汽車の親会社となる「吉利控股集団(ジーリーグループ)」は、スウェーデンのボルボカーズも傘下にもち、ジーリー車とボルボ車ではパワートレインの共用も進み、ZEEKRもボルボカーズのBEVとパワートレインを共用しており、ほかの中国メーカー車とは一線を画す存在となっているので、その意味でも今後のタイでの動きが注目できる。

 そのわけは街なかへ出ればわかる。街なかでは古いボルボ車をもともと多く見かけるのだが、ここのところはコンパクトモデルを中心に最新のボルボ車も多く見かけるようになってきた。「日本でも同じかもしれませんが、こちらでも所得に余裕がありインテリジェンスの高いひとの一部ではボルボ車に乗りたがる傾向があります」とは地元事情通。古いボルボ車を大切に乗る人が多いことからも、ZEEKRは単に「中国製BEV」とは違う側面で普及していくかもしれない。

 さらに、この2ブランドそれぞれをタイ国内で販売する代理店は、国営の石油・ガス事業会社「PTT」の子会社だということ。PTTはすでにNEV(新エネルギー車)の普及に伴い、タイ国内の充電インフラ普及にも積極的に取り組んでいる。

 あるショー主催関係者は「この2ブランドの販売をPTT系子会社が行うということはじつに興味深い」とのコメントを寄せてくれた。

 今回のショーでは主だっただけでも、8つの中国系ブランドがブースを構えた。BYDオート(比亜迪汽車)やNETA(哪叱汽車)、NEVブランドとして出展しているAION(広州汽車)、XPENG、ZEEKRなどはBEVのみをタイでラインアップしているが、GWM(長城汽車)やMG(上海汽車)、チャンアン(長安汽車)などはHEVも含むICE(内燃機関)車もラインアップしている。それでもやはり、中国ブランドの販売の中心はBEVとなっていることには変わりはない。

 しかし、会場で見てもタイという市場規模に対しては中国ブランドの進出する数とそのスピードに、単に市場拡大という以外の思惑も見えてきてしまう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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