駐車禁止場所に停めているクルマの脇をすり抜けたらミラーが接触! 停めてるほうが悪い? ぶつけたほうが悪い?

この記事をまとめると

■駐停車車両への追突事故が起きた場合、基本的に10:0でぶつけたほうが悪いとされる

■では駐車禁止場所に停めているクルマに走行車両がぶつかった際はどうか?

■「別冊判例タイムス 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」を参考に解説する

9:1になる可能性が高い!

 警察庁がまとめた令和2年中の交通事故発生件数を事故類型別にみると、追突事故がもっとも多く、年間9万5,520件、構成率30.9%となっている。

 こうした追突事故のうち、駐停車車両への追突事故の過失割合は、追突した車両側が100%、駐停車車両=被追突車が0%というのが基本。いわゆる10:0で、ぶつけた方が悪いのが大原則。

 とはいえ、もしも駐停車していたクルマが止まっていた場所が、駐停車禁止の場所であったとしたら、止まっていたクルマ側にも落ち度があったとはいえないのだろうか?

 調べてみると、「別冊判例タイムス 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(東京地裁民事交通訴訟研究会 編)の「駐停車車両に対する追突事故」には、以下の場合、駐停車車両に一部過失があるとして、具体的な修正要素を挙げている。

・違法駐停車

・(夜間)駐停車側のハザードランプの不灯火

・降雨、濃霧、夜間で街灯がなく暗い所などの理由で視認不良の場合

・車道を大きく塞ぐ駐停車、追い越し車線や道幅の狭い道への駐停車等

 これらのケースでは、駐車していたクルマ側にも、それぞれ10%の過失があると記されているので、駐停車禁止の場所に止まっていたクルマに追突・接触してしまった場合の過失割合は、10:0ではなく、9:1になる可能性が高い。

 ちなみに高速道路でも、路側帯や路肩にクルマを止めているときに、後ろから追突された場合は、追突した車両側に100%の過失が課せられる。

 止めていた場所が本線上であったとしても、故障などやむを得ない理由で、三角表示板(停止表示板)を設置したり、発煙筒を焚いたりして、後続車に停車を知らせる措置を講じたときは、駐停車側に過失はないとみなされる。

 もっとも、そうした措置をとらずに、本線にはみ出して駐停車した場合や、夜間や濃霧、雨などで視認状況が悪い状況だったとすると、過失割合が10〜20%修正されることもある。

 街を走っていると、「こんなところに駐車して! ぶつけられても文句言えないぞ」といいたくなるクルマも見かけるが、駐停車禁止場所や、その他の危険なエリアに駐停車しているクルマは、事故が起きたときに、10~20%の過失が問われることがあることを覚えておこう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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