東京モーターショーはもはや「価値」を失った!? 「ジャパンモビリティショー」への名称変更は何を意味するのか? (2/2ページ)

モーターショーの目的が明確化されていることが重要

 アメリカでは、デトロイトのような衰退していくオートショーがあるなか、集客力が高く投資家などへのアピールにもなるニューヨークショーや、ZEV(ゼロエミッション車)普及に熱心なカリフォルニア州での開催でZEVの出品などに主軸を置くロサンゼルス・オートショーなどは、ほぼ従来どおりに開催していけるのではないかといわれており、オートショーの“選択と集中”というものが加速してきているのが現状である。

 中国や東南アジアのオートショーは、先進国のオートショーに比べればまだまだパワーがある。その最大の理由はショー会場内で積極的に販売促進活動が行われているからである。各地区から選ばれた多数のセールスマンが会場におり、自発的にショー会場を訪れる人だけでなく、会場にいるセールスマンが馴染み客や購入見込み客を会場に呼び込んでいるので、来場者数もまだまだ多い。各メーカーブースには広大な商談スースと臨時のファイナンス会社の与信コーナーがあり、その場で契約ができる準備が整っている。ショー会期中に限った特別値引きなども用意されており、会場に人が集まりやすい環境が整っているのである。主催者は来場者数も気になるところだが、会期中の成約台数もかなり気にしているのである。

 またあるショーでは、連日地元の有名芸能人のリサイタルなどを行っており、クルマにそれほど興味のない人も会場にきてもらえるような仕掛けも用意されていた。

 ちなみにアメリカでも、地元ディーラーが“オートショー特別価格販売”など会期中だけのキャンペーンを用意して盛り上げをはかっていた。また、アメリカや新興国のオートショーでは、新車の試乗が積極的に行われるケースも目立つ。ディーラーで試乗するよりはしがらみも少なく、試乗車も豊富に用意され、多くのメーカーのモデルを一カ所で試乗できるので、購入希望車種を絞り込むのに大変役立つ。特設コースで性能テストができたり、一般公道で試乗できるなど、その内容はさまざまである。

 つまり、単に“最新モデルや技術が展示してありますよ”だけでは、おそらく新興国でも客足は伸びないのだろう。そこへいく目的やメリットが明確に存在すれば多くの人が足を運ぶはずである。

 東京モーターショーでも、過去には会場にセールスマンが配置され、メーカーブースには商談コーナーも用意されていた。輸入車にいたっては、展示車の即売も行われていた。しかし、日本車が世界的に高い評価を受け、その優れた環境性能や燃費性能に注目を浴びるようになると、トレードショーというよりは見本市という側面の目立つショーとなっていった。しかし、ここ数年は日本車は世界的に高い評価を受け続けているが、注目すべき先端技術がわずかになってきたともいわれている。ある海外ブランドが東京モーターショーへの出展をやめると決めた理由のひとつに、出展しても日本メーカーの展示などから得る情報価値がそれほど高くなくなった一方で、中国のオートショーが情報収集面でもより高くなったというものがあったとも聞く。つまり、ショー会場へ行ってもクルマが買えるわけでもない、しかも世界の注目を浴びるような驚くべき先端技術をたくさん見ることもできなくなってしまったのが、ここ最近の東京モーターショーの現状である。

 世界的にBEV(バッテリー電気自動車)をメインとしたZEV(ゼロエミッション車)がトレンドとなっているなか、日本車はその分野では出遅れているイメージが広く浸透している。そのなかで、ジャパンモビリティショーはどのようにして、世界、いや国内においても新たな注目を集めようとするのか、2023年の開催が楽しみである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報