クルマ好きで知られる大統領が「インドネシア国際モーターショー2024」を視察! BYDブースには時間をかけた一方でスルーするブランドも……

この記事をまとめると

■2024年2月開催の「インドネシア国際モーターショー2024」をインドネシア大統領が視察

■出展ブースを注意深くまわっていたが、韓国ヒョンデのみスルーしたのが衝撃的だった

■インドネシアでは中国系メーカーの進出を政府として好意的に捉えていると感じた

クルマ好きで知られるインドネシア大統領がヒョンデを完全スルー

 2024年2月にインドネシアの首都ジャカルタでインドネシア国際モーターショー2024(IIMS2024)が開催された。開幕日でありメディア向け「プレスデー」となった、2月15日にはオープニングセレモニーが行われ、セレモニーには急遽、ジョコ大統領が出席した。

 いつもは所管大臣などが出席するのだが、オープニングセレモニー終了後にはセレモニーに出席した閣僚が会場内を視察するのが恒例であり、今回はジョコ大統領が会場内を視察するというので大騒ぎになっていた。

 筆者の経験や聞いた話では、たとえば2022年9月の北米国際オートショー(通称デトロイトショー)にバイデン大統領が訪問したのだが、その日は朝から空港のセキュリティをはるかに超えるレベルのチェックポイントが会場に入る前に用意され、大統領が訪問している間は会場内への出入りが(メディアのみのプレスデーなのに)完全シャットアウトされたという。

 また、インドのバンガロールで2024年1月に開催された、「FMS(フューチャー・モビリティショー)2024」では、インドのモディ首相が会場を訪れ、インドのタタモータースブースを見学するということで終日会場は閉鎖されたとの話も聞いている。

 アメリカやインドはセキュリティレベルが高いからこそ閉鎖としたようだが、インドネシアも治安状況はそれほどよくない。しかし、IIMSやGIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)では、会場内を視察する大臣のあとをメディアがついていき撮影することができる。今回のIIMSでは、ジョコ大統領が会場内を視察したため多くのメディアが集まり、ジョコ大統領のあとをついてまわっていた。

 筆者はたまたま中国BYD(比亜迪汽車)ブースにいたので、そのままジョコ大統領がBYDブースを訪れるのを待っていた。大統領がくるまでは展示車を徹底的に磨き上げ、訪問直前には幹部が勢ぞろいしてブース入口で大統領がくるのを待っていた。

 大統領のような国家元首や国のリーダーが多忙なのは万国共通。そのため、まさに駆け足で各ブースを見てまわるのが恒例なのだが、見ているとBYDでは展示されている車種ほぼすべてに大統領が乗りこむほど時間をかけてブースを視察していた。

 BYDの対面には韓国ヒョンデブースがあったので、「BYDの次はヒョンデかなぁ」と思っていると、まさかの完全スルーで大統領は去っていった。

 会場にいた事情通も、「日系メーカーなどは”あいさつ程度”の短時間とはなりますが、こまめにまわっていただけに、まさかのヒョンデスルーは想定外で驚いています」と語ってくれた。

 ヒョンデはインドネシアに工場を建設し、すでにBEV(バッテリー電気自動車)のアイオニック5をはじめ、多数の車種を現地生産している。ブースにはインドネシアの自動車ショーでは珍しいコンセプトカーも展示するなど、気合いが入っているようにも見えたので、「ヒョンデスルー」は現場にいた日本人の間では大きな話題となった。

「大統領が視察するブースをセレクトしているわけではありません。それでもクルマ好きで知られる大統領なので、個人の興味で視察にかける時間は変わっていたかもしれません。ただ、基本的には主催者側だと思いますが”先導役”のような人がいて、その人の指示に従い視察していくことになっているようです」(事情通)

 BYDは大統領の興味を惹き長めの滞在となり、ヒョンデは先導役の判断でスルーしたのかもしれないから、その真意を知ることはできない。ただ、うがった見方をすれば、インドネシアでも中国企業は自動車以外でも積極進出しており、インドネシア政府も中国企業進出に好意的だ。その姿勢が現れたとも見ることもできそうだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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