SUVにはあるのにセダンやミニバンじゃ黄色や水色が選べない! 同じメーカーでもクルマによって「ボディカラー」の設定が異なるワケ (2/2ページ)

専用色や全車共有色の設定などブランドごとに異なるカラー戦略

同じクラスでも使い方や目的はさまざま

 もうひとつの違いは「性格の違い」です。たとえば、同じクラスのSUVであるトヨタの「ハリアー」と「RAV4」では、基本色は同じ8色としながら、カムリの配色に近いハリアーに対し、RAV4には「グレイッシュブルー」や「アーバンカーキ」といった明るい色を加えています。

 また、軽自動車のアウトドア派であるスズキの「ジムニー」と「ハスラー」にも違いがあります。両車とも基本は明るい配色ですが、ジムニーは山間でも目立つ蛍光色のイエローや、アースカラー的なアイボリーを設定。一方、ハスラーは彩度の高いオレンジやブルー、グリーンなどが印象的です。

 同じクラス、カテゴリーであっても、たとえばセダン的な乗り方なのか、よりアクティブな使い方なのか、そうした性格付けの違いによって色を変えているのです。

特別なクルマには特別な色がある

 そのほかでは「専用色」というものあります。有名なのがホンダの「チャンピオンシップホワイト」で、ご存じタイプRの専用色です。スポーティなクルマが好きな方には、たとえば新しい「フィット RS」にもこの色が欲しい、なんて声もありそうですが、そうは行きません。

 似たような例では、スズキの「スイフト スポーツ」に設定された「チャンピオンイエロー」があります。いずれも、特定のグレードを表現する色としてそれ自体に価値を与えたことが特徴です。

 以上のように、車格や性格の違いなども含め、クルマのカラーはCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)デザイナーという、エクステリアとは別のチームが担当するのが一般的です。チームは車種ごとに明快なコンセプトを立て、場合によって新色開発も行いますから、当然各車で配色も異なってくるワケです。

カラーとカタチを分けないマツダデザイン

 最後に、ボディカラーについてはやはりマツダ車を取り上げなくてはいけないでしょう。「魂動デザイン」として共通のスタイルを持つ同社のラインアップですが、「色も造形の一部」として、基本的なボディカラーを各車で共有しているのが特徴です。

 11月15日には、新しいマツダの赤として「アーティザンレッドプレミアムメタリック」を発表、色についての深い追求を進めていますが、どの車種を選んでもメーカー厳選のカラーを体験できる点は、他社にはないじつにユニークな姿勢と言えるでしょう。

 さて、今回は車種によって異なるカラーバリエーションの理由を整理してみました。どの色の設定にも相応の理由がありますが、たとえば「フルオーダー」的なメニューがあってもいいのでは? と思います。一定の金額と納期を条件に、そのメーカーが持つすべての色から自由に選べれば、クルマ文化にも寄与すると思うのですが。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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