「ホイール」に「シフトレバー」! 歴代プリウスの功績は「ハイブリッドの浸透」だけじゃないんです (2/2ページ)

2代目以降の電子シフトはいまや多数派

 このアイディアはプリウスの伝統となって4代目まで受け継がれたが、それだけではない。たとえば、スバル・レヴォーグ(初代・前期)やホンダの燃料電池車クラリティなどは同様のアイディアを採用することで走行抵抗の低減をはかっていた。プリウスの真似をしたとはいわないが、トヨタが先んじて世に問うたことで、他社が採用しやすい土壌をつくったというのは事実だろう。

 2代目プリウスの新提案で、その後に多くのフォロワーを生んだのが「エレクトロシフトマチック」だろう。いわゆるジョイスティックのような操作感のシフトレバーで、日産リーフやホンダ・フィットなども採用した電子シフトレバーの先達だ。

 実際、電子シフトについては“プリウスタイプ”という風に呼ばれることも少なくない。まさにプリウスの象徴といえる操作系といえる。

 なお、冒頭で記したアンチのなかには、電子シフトレバーが暴走事故の主要因だと指摘する声もあるようだが、プリウスタイプのシフト操作系が増えてきても、交通事故自体は全体として減っているのだから、坊主憎けりゃなんとやら……なのだろう。

 さて、最新のプリウスは、同じスタイリングでハイブリッドとプラグインハイブリッドを用意するといったラインアップになっている。最近のトヨタは、プラグインハイブリッドを設定するRAV4やハリアーでもプラグインハイブリッドを特別なモデルとはせずに、あくまでグレードの一部という扱いにしているので、そうした流れを汲んでいるのだろう。

 外部充電できるハイブリッドカーであるプラグインハイブリッドを国産車として最初に用意したのも、当然ながらプリウスであった。それは3代目のときだ。

 官公庁を中心にリースされたプリウスPHVの誕生は2009年のことで、2012年1月には一般向けがローンチされた。2012年後半には前年におきた東日本大震災を受け、家庭などに電力を供給できる機能を持たせるといった進化を遂げるなど、燃費や環境といった要素だけでなく、サバイバル的な視点からもプラグインハイブリッドに価値があることを世に知らしめたのはプリウスの功績といえる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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