早くも新型シビック TYPE Rがレースデビュー! 驚くほどのバカッ速ぶりでいきなり2位表彰台 (2/2ページ)

サーキット走行で感じた新型シビックTypeRの底力

 世界で初めてサーキット走行をしたドライバーとなった石垣博基さんは、先代との比較として全体的な走りに落ち着きがあり、操りやすくなっているとコメント。続いて走行した木立純一さんも、ロールが大きく感じるところはあったものの、トルク特性が低速からきれいに引き出せるので乗りやすく、セットアップを煮詰めていくことで本番も期待できるとコメントしていました。

 また、プロとして冷静に見極めた武藤英紀選手からは、まだリヤが暴れるようなスネーキングが見られるものの、全体的な感触は良かったことが告げられ、チーム一同、S耐デビューに向けて手応えのあるシェイクダウンとなったようです。

 そして迎えた本番。S耐最終戦は5時間耐久レースということで、まだロングランのテストができていないことが、いちばんの不安要素だったと言います。しかし練習走行のなかでセットアップを煮詰め、順調にタイムを短縮。予選ではクラス4位となったものの、ST-2クラスでは唯一の17秒台となる、2分17秒980というタイムを石垣選手が叩き出し、全体では51台中31番グリッドからのスタートとなりました。ガチライバルは、四駆で安定したコーナリングとターボエンジンによる速さを武器とするGRヤリスや、熟成されたバランスと一発の速さをもつランサーエボリューション。ですが、ゼッケン6のランエボをドライブする大橋選手に新型シビック TYPE Rの印象を聞いたところ、「後ろから見ててすごく安定してると思います。コーナー立ち上がりからが速くて、追いつけない」と驚いている様子でした。

 最終戦は序盤からFCY(フルコースイエロー)が頻発する荒れたレースとなり、スタートドライバーの柿沼さんが順調に周回を重ねつつ、FCYのタイミングでライバルがピットインしたため、シビック TYPE Rもドライバーを石垣さんにチェンジ。安定した速さでクラス1位に上り詰めたところで、木立さんにバトンをつなぎます。ところが前方で起こった大クラッシュのあおりを受け、リヤにダメージを負ってしまうと、振動が大きくなりタイムダウン。レース終盤、ラスト1時間を切ったところで武藤選手にマシンを託します。すると、プロの腕を見せつけるかのようにクラスベストを更新するウルトラタイムを連発。ジリジリとライバルを追い詰め、ついにクラス3位に浮上。このままいけば1位にも届くかとチームが湧いた矢先、レース残り時間10分を切ったところでまたしてもFCYが……。50km/hの速度制限が敷かれ、これ以上の追い上げは望めないと肩を落とします。それでも、武藤選手の怒涛の追い上げにより、ラスト1周でWRX STIを抜き去り2位に浮上! デビュー戦にして念願の表彰台獲得を成し遂げたのでした。

 レースを終えて、柿沼さんは「先代では見えなかった景色を新型は見せてくれました。でもまだ、2位というところがミソ。これから来シーズンに向けて、今日の経験をマシンにフィードバックしてもっと強くしていきたいと思います」と涙ながらにコメントしてくれました。

 Hondaの走りへの情熱を背負い、見事な勇姿を見せてくれた新型シビック TYPE R。来シーズンのスーパー耐久シリーズへの本格参戦にぜひ期待しましょう!


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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