サクラとeKクロスEVは日本でいまもっとも必要な1台! 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで10点を入れたクルマとその理由【青山尚暉編】

この記事をまとめると

■日本カー・オブ・ザ・イヤー2022-2023の最終選考が終了

■選考委員を務めた方々に10点を入れたクルマとその理由を聞いた

■今回は日産サクラ/三菱eKクロスEVを選んだ青山尚暉さん

上質な乗り心地で”軽自動車に乗っている感”は皆無!

 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、日産サクラ、三菱ekクロスEVに10点を投じた。2022年はBEVが国内外の自動車メーカーから大挙登場した年だったが、なかでも日産サクラと三菱ekクロスEVは、補助金を含めた誰でも手が届く価格、軽自動車規格ならではの扱いやすいサイズともに、日本においてBEVを所有するハードルを下げ、都市部の街乗り専用車としてのセカンドカー(サードカー?)需要から、ガソリンスタンドの廃業が進む地方まで、BEVの普及を一気に加速させる起爆剤になると思えるからだ。しかも、その走行性能や内外装デザインは軽自動車の域を大きく超えた上質さを備え(とくにサクラ)、実際、東京~南房総(片道80km)を1泊2日で試乗した際も、まるで上級車に乗っているかのような乗り心地、静粛性、十分すぎる加速性能、巡航性能に、改めて驚かされたものだ。

 日産のテストコース、一般道のロングラン試乗に加え、日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベスト試乗会では袖ヶ浦フォレストレースウェイのサーキットを走る機会を得たが、サーキット全開走行でも足まわりは前後バランスに優れ、日常域を含め軽規格のクルマとしての基本性能は極めて高いと言っていい。袖ヶ浦フォレストレースウェイでは並みいる10ベストカーも同時に試乗したのだが、「やっぱり今年はこれだな」と思いを強くした次第。また先進運転支援機能や安全装備、軽規格のクルマにしてSOSコールを含むコネクテッド機能も上級車さながらに充実していて、カーボンニュートラルに向けて、今、日本でもっとも必要とされる1台ではないか……というのが持ち点の最高点、10点を入れさせていただいた理由である。

 もっとも、WLTCモードのいち充電航続距離は180km。シティコミューター的BEVに割り切られていて、実質130kmぐらいの航続距離になるのだが、わが家の日常の1日の走行距離は20km未満(買い物、家族の送迎、愛犬と行く近所のドッグランなど)。つまり、4~5日は1回の満充電で済むことになるものの、あくまで、そうした使い方に割り切った生活密着型街乗りBEVということだ。

 では、東京~南房総の1泊2日の試乗(片道80km)のときはどうだったかと言えば、まず自宅で前夜満充電。朝、出発して、念のため、目的地近くの道の駅で朝食を取りながら急速充電。高速走行ではプロパイロット(ekクロスEVならMIパイロット)を駆使し安心・安全・快適至極。もっとずっと大きいクルマを運転しているような感覚もあった。翌日の帰路も、お土産の買い物とランチついでに充電したため、充電に要する時間をいっさい無駄にせず、サクラの1泊2日のドライブを、南房総の空気を汚すことなく、気持ち良く完結できたのである。ちなみに同乗者によれば、サクラのインパネを覆うファブリックの高級仕立てなどの室内の高級感、シートのかけ心地の良さ、デイズ譲りの後席の広さを含め、”軽自動車に乗っている感”は皆無だったという(もちろん、筆者も同感)。

 たしかにいち充電航続距離400~500km超えのBEVに比べ、条件によっては使いにくく感じるのは当然だが、ロングレンジのBEVに対して3分の1以下の価格だと考えれば、納得もいく(車両本体価格が安いBEVのほうが、補助金によるお得感は強まる)。電気自動車に抵抗ある人でも、BEVの入門車、お試し車として、軽ターボと変わらない補助金込みの実質購入価格なら手を出しやすいはずで、そここそ、BEVのハードルを下げ、普及させる決め手になりうる。日本の電気自動車元年と言っていい多くのBEVが登場した2022年を代表する1台は、やっぱり日本カー・オブ・ザ・イヤー史上初の軽自動車受賞車ともなった日産サクラ、三菱ekクロスEVが相応しいと思える。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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