サクラ&eKクロスEVを評価せずして未来は語れない! 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーで10点を入れたクルマとその理由【御堀直嗣編】

この記事をまとめると

■日本カー・オブ・ザ・イヤー2022-2023の最終選考が終了

■選考委員を務めた方々に10点を入れたクルマとその理由を聞いた

■今回は日産サクラ/三菱eKクロスEVを選んだ御堀直嗣さん

黄色のナンバープレートを誇りに思えるEV!

 日本カー・オブ・ザ・イヤーで、私が最高得点の10点を入れたのは、日産サクラ/三菱eKクロスEVだ。

 軽自動車の電気自動車(EV)は、2009年に三菱i-MiEVがまず法人向けに売り出し、翌10年に一般消費者への販売を開始している。このときの車両価格は、約459万円だった。2010年に発売された日産リーフが上級グレードのGで約406万円だったから、費用対効果の点でi-MiEVは高価と感じさせた。

 それから十数年を経て誕生したサクラとeKクロスEVは、上級グレードでも約290万円で、一つ下のグレードなら約240万円で購入できる。なおかつ、55万円の補助金を活用すれば、180万円ほどで手に入れることができ、これは軽自動車のガソリンターボエンジン車種と同等水準になる。EVが、軽自動車並みの価格に届いた。

 車載のリチウムイオンバッテリーは、20kWh(キロ・ワット・アワー)で、WLTCモードで180kmを満充電で走れる。日産リーフの標準車が40kWhだから、バッテリー容量はその半分だ。昨今の輸入EVのSUVなどは70~80kWhという大容量なので、それらからすると、軽EVの20kWhは見劣りし、走行距離への不安が募るかもしれない。

 しかし、通勤など含め日常的な移動に十分なバッテリー容量であり、長距離移動するなら急速充電すればよいだけだと考えられれば、合理的な選択となる。

 また、かつてi-MiEVで都内から長野県の白馬まで移動したとき、行程約300kmの間で4回急速充電したが、サクラとeKクロスEVは2回で済んでいる。電極を含めた高性能化と、回生効果を含めた充放電の制御が向上したためだろう。軽EVとはいえ、遠出の不安も、じつはそれほどではないのである。

 そのうえで、i-MiEVのときから、軽EVは高速移動も快適な静粛性と乗り心地、そして動力性能を備えている。これらの利点は、サクラもeKクロスEVも引き継いでいる。当然、市街地などでも同様で、軽自動車に乗っている気がしないほど上級車感覚にあふれている。販売店情報を聞くと、軽自動車のスーパーハイトワゴンや、登録車のハイブリッド車からの乗り換えがあるという。

 軽自動車規格内の車体寸法で、5ナンバー車だから、日常的な取り回しがよく、国内何処でも運転しやすい。運転支援など最新の安全技術も車載されている。

 資源利用や電力使用の合理性においても無駄の少ないEVであり、黄色のナンバープレートを誇りに思えるEVだ。今年、このクルマに10点を入れずして、一年を、そして未来を語れるだろうかと思うのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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